中日首脳会談は、両国関係の構造的な食い違いを解消するだろうか?
中日首脳会談は杭州市で開かれた。2012年の釣魚島問題による中日関係の激化以来、特に安倍首相の再任以来、中日の首脳の国際的な場における顔合わせは、観測筋が中日関係を観察する重要な機会となっている。これには両国首脳の冷たくそっけない対応、偶然顔を合わせた時の挨拶、さらには北京APEC首脳会議中の中日首脳会談における儀礼的な握手が含まれる。中日関係はその後首脳会談を実現し、中日韓の政治・経済・貿易をめぐる対話枠組みがある程度は再開された。しかし中日関係を妨げる食い違いが解消されておらず、拡大の傾向を見せている。
日本側も差し迫った需要により、今回の中日首脳会談の実現を願っていた。両国首脳は握手をし、北京APECの時と比べると和やかなムードだった。しかし中日関係の食い違いが余りにも多く蓄積されており、一度もしくは複数回の首脳会談で解消できるものではない。習近平国家主席が「中日は互いに重要な隣人であり、両国関係の長期的で健全な安定した発展は両国民の利益であり、地域の平和と安定にも資する。現在、中日関係は依然複雑な要素に度々妨害されている。双方は妨害を排除し、中日関係が早期に正常な発展の道に戻るよう後押しすべきだ」と発言したとおりだ。
中日関係はどのような複雑な要素に妨害されているのだろうか?中日関係における歴史のわだかまりや釣魚島の主権をめぐる係争が挙げられるが、より複雑なのは安倍政権が自ら二国間の範疇を超える食い違いをこしらえ、中日関係の新たな障害にしていることだ。
まず、米国のアジア太平洋リバランス戦略に協力し、米国の中国けん制の急先鋒になる。地政学的には米国を応援するため、中国の東南アジアにおける隣国、特に中国との間に南中国海の島嶼をめぐる係争を抱えるフィリピンやベトナムなどに働きかけている。経済的には米国に協力し中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に対抗し、中国を排除する環太平洋経済連携協定(TPP)に加入している。
次に、南中国海問題で米国側につき、中国批判の仲間入りをしたばかりか、中国を念頭に置く合同軍事演習に加わり、フィリピンに巡視船や設備などの支持を行っている。