中日関係、理解促進には多くの福原愛が必要

中日関係、理解促進には多くの福原愛が必要。

タグ: 福原愛

発信時間: 2016-09-09 13:29:37 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

外交官である私と中国語の関係は、1969年に外務省に入省した時から始まる。私は当時、中国語の研修を受けた。その頃から2010年に退職するまで、人生の半分以上の時間に渡り中日関係に関わっている。

等身大の相手を理解、中日にとって非常に重要に

私は中国を比較的理解している日本人だと思う。中日両国に詳しい私は、中日間がある面で、今のように敵視し憎みあう理由を理解できない。理性的に考え分析すると、両国はこのような局面に陥るべきではない。これは中日両国間に理性的な判断、つまり長期的で広い視野による戦略的な判断の必要性を示している。両国は何が自国の真の利益であり、いかに自国の利益を中日関係で示すかを理解しなければならない。

また私たちは相手側の社会と国民の実情、つまり等身大の相手を理解しなければならない。どのような社会であっても善人と悪人、感情的な人と理性的な人、それから豊かな人と貧しい人がいる。中国もそうで、日本社会もそうだ。複雑で、人のさまざまな価値観がある。そのため相手側を一つのイメージとして批判すれば、事の真相から必然的にかけ離れることになる。中日は現在、多くの人を相手側の社会に紹介し、個人的な交流により等身大の相手を理解する必要がある。私はここで、先ほど閉幕したリオ五輪で中国の多くの観衆から支持された、日本の卓球選手の福原愛さんを思い出す。ネット上のコメントを見た私は、非常に感動させられた。友人のような、人と人の間の関心と支持を目にしたからだ。私は日中間により多くの福原愛さんが必要だと信じている。

中日は「アジアの目」を忘れるな

一人を通じて相手側の社会の側面を理解できるならば、私たちにはより多くの福原愛さんが必要だ。逆に傅園慧さんに日本での生活経験があり、テレビのインタビューに日本語で応じたらどうだろうか。彼女が流行語になった「洪荒之力」を口にしなくても、個人的な魅力により日本人から拍手喝采を浴びるだろう。人々は彼女の率直な言葉から、メダル獲得に向け努力した中国人選手の心の声を感じることができるからだ。これは非常に自然な手段であり、中国人がどのような人々であるのかを活き活きと示す。これは抽象的な描写ではなく、日本人に具体的な中国の人物像を見せることができる。こうすることで日本社会の中国人、中国社会への親近感を増すことができる。一人ひとりの人物のイメージを蓄積することで、私たちは相手側の生きた社会を徐々に認識できる。

実際にはこれだけではない。福原愛さんの物語で、私は中日の深い交流の歴史を思い出す。リオ五輪で中国女子バレーの監督だった郎平氏は、「鬼の大松」と呼ばれた大松博文氏の指導で苦しい練習に耐えたことがある。中国人の間では今日も、「大松は逝ったが、彼の練習方法・技術指導・規律は中国女子バレーに継承された。変幻自在の戦術、困難に打ち勝ち絶対に諦めないという女子バレーの精神は、大松の手で創られ育まれた」という言葉が伝わっている。

数年前、サッカーの岡田武史氏が杭州緑城の監督に就任すると聞いたとき、私は岡田氏に中国の状況を詳細に説明する必要性を感じた。私は出発前、岡田氏と東京で会った。私は中日間の差、中国で働く難しさについて多く話したが、岡田氏は少しも気にしなかった。なぜ中国で監督になるのかと聞くと、「多くの国から招聘されたが、中国に決めた。私にはいつかアジアのサッカーで欧州のサッカーに勝つという夢がある。中国のサッカーのレベルが上がらなければ、私の夢は実現されない。そこで中国に行き、中国のサッカーを強くする手助けをしようとした」と答えた。岡田氏は今日も、中国で自分の信念を貫いている。岡田氏には、「アジアの目」があったのだ。私たちはこの「アジアの目」を忘れがちだ。中日はアジアのために協力を強化するべきだ。(筆者:宮本雄二 日本日中関係学会会長、元中国大使)

「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年9月9日

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