日本は今年、自然科学部門のノーベル賞受賞者を再び輩出したが、ノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典氏は日本の科学研究の現状に対して危機感を抱いている。あるメディアは、日本が現在ノーベル賞を受賞できているのは20-30年前の「遺産」によるもので、もし科学研究への取り組みを拡大しなければ、日本の科学研究の競争力は落ちていくとの見通しを示した。
大隅教授は受賞後、多くの場所で日本の科学研究の現状に対する危機感を示した。教授は、現在の日本では科学研究に携わろうとする若者が次第に減り、多くの修士が現実を考慮して、博士課程に進もうとしないと指摘。日本が若い研究者を育てる体制を作れなければ、日本の科学は「空洞化」してしまうとの見解を示している。
大隅教授の懸念には根拠があり、日本の若者はここ数年の間に科学研究から遠ざかっている。日本経済産業省が2011年発表のデータによると、1000人当たりの研究生の数は日本がわずか2人で、英国、フランス、米国がいずれも8-9人、韓国が6人だった。日本の修士が博士課程に進む割合は2000年の15%から、2015年には約8%に下がった。
統計をみても、2001年から2010年まで日本は毎年、自然科学博士の学位取得者数が6万人前後にとどまった。同時期に、米国は約17万人から約25万人に増え、中国は約7万5000人から約29万人に急増した。日本の若者が科学研究から離れる傾向は、ここ数年にわたる日本経済の不景気と関係があり、若者は生きることという差し迫った圧力に直面している。