リスク増大で懸念高まる
稲田氏は視察中、メディアの記者に対し、南スーダンの「治安の改善」を特に強調し、「(治安が)落ち着いていることを見ることができ、関係者からもそういう風に聞くことができた。持ち帰って政府全体で議論したい」と語った。
朝日新聞は、稲田氏のこの発言について、日本政府が新安保法に基づいて新たな任務を命令する地ならしをしていると分析する。新安保法の採択以来、日本政府は、南スーダンの平和維持活動に「駆けつけ警護」などの新任務の付与を目指してきた。安倍氏が掲げる「積極的和平主義」の柱の一つともなる。
実際には、稲田氏の南スーダン訪問はその布石の一つにすぎず、日本政府はすでに、新任務付与に向けた準備を着々と進めてきた。安倍氏は今年9月、自衛隊幹部に対し、「仕組みはできた。今こそ実行の時だ」と語った。
このほか11月に交代する自衛隊員は、9月から「駆けつけ警護」などの新任務の訓練を始めている。また世論の反対の声を和らげるため、日本防衛省は、自衛隊の活動範囲を南スーダン首都ジュバ周辺に限定し、リスクを抑える方針を固めている。
だが日本メディアと野党は依然として、日本の活動の範囲と内容の拡大に不安を持っている。朝日新聞は、「『付与ありき』で突き進むには不安材料もある」と指摘する。南スーダンの首都ジュバでは今年7月、銃撃戦が発生した。キール大統領とマシャール副大統領の両派の軍隊は衝突し、激しい戦闘を続けている。日本外務省はこれを受け、最高レベルの「退避勧告」を出している。また南スーダン政府軍と国連PKO部隊の関係悪化も指摘されており、平和維持人員の安定的な受け入れ態勢を確保できるかは不透明となっているという。
「ジュバで再び衝突が起きない保証はあるのか。駆けつけ警護で身を危険にさらすことになるのは自衛隊だ」と、日本の防衛政策に詳しい自民党議員も語っている。
日本の野党も新任務の実施には懸念を示しており、「新任務には大きな危険が伴う」と指摘している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年10月12日