だが90年代初めにバブルが崩壊すると、日本は、低成長とデフレの悪循環に陥り、超富裕層以外の庶民の生活水準は急速に引き下がった。海外投資と消費の支出は削減を余儀なくされ、海外留学者数の増加率も90年代に大きく鈍化し、2004年以降は年々低下している。
日本経済がなかなか回復しないのは、現在の内向的な傾向と大きく関係している。経済の活力を高めるには時間が必要だが、日本の政府と大学はすでに、内向的で閉じられた状況の改善をはかるための措置を取り始めている。日本政府は2014年、留学生の人数を当時の6万人から2020年までに12万人に増やし、財政予算を20億円増額する新たな計画を打ち出した。一部の大学も、海外留学の積極的な促進に乗り出している。例えば一橋大学は、留学を2018年から必修科目とし、留学しなければ卒業できないようにすることを計画している。
だが客観的な環境よりも解決が難しいのが、主観的な要素だ。盧昊氏によると、日本人の自信の欠如という危機的状況は、非常にやっかいな問題となっている。米紙『ニューヨーク・タイムズ』によると、バブル経済崩壊まで、日本は、「活力と野心に満ち、そのプライドは傲慢の域にまで達していた」。だが現在、かつての壮大な志は消え去り、未来への恐れと疲労とがこれに代わっている。「かつてあれほど貪欲だった日本のメーカーは今、韓国と中国のライバルに降参しようとしている。かつてマンハッタンやパリに飛び、豪華な買い物の旅を楽しんでいた日本人は、今ではむしろ家に閉じこもり、未来のために貯金をしたがっている」
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