ところが実力に限りがあり、日本政府は中国と全面対抗を展開する勇気を持たなかった。中日両国は互いに重要な経済パートナーだ。アベノミクスが低迷するなか、中国の台頭を利用し国内経済を刺激する。これにより安倍首相は行き過ぎた行動に出られなくなっている。その一方で中国の全面的なけん制を強調しすぎれば、日本の国力を損ねるばかりか、客観的にも日本の外交を米国とより緊密に結びつけることになる。日本はこうして米国の世界戦略の駒に成り下がり、日本の自主性を下げ、日本の国際的地位を損ねることになる。これは「強い日本」を取り戻し、改憲により「正常な国」になろうとしている安倍首相にとって、受け入れがたいことだ。これは過去4年間、中日関係が臨界点に達しようとした時に、日本が常に「手直し」を行った原因だ。
こうして見ると、中日は両国の歴史にとって初の「和して同ぜず、争うも破談しない。交流を絶やさず、互恵・ウィンウィンを目指す」という段階の、「冷たい平和」の段階に入っている。しかしこれは友好、相互信頼、誠意ある協力の精神の欠けた、政治と経済を切り離したレベルの低い関係だ。中日という2つの大国はこれにより、戦術面で助け合うのではなく、損ね合うという苦境に陥っている。これは振興を目指す2つの民族にとって、喜ばしいこととは言えない。
日本の「善意」に対して、我々は出来る限り現実主義的な考えを持ち、その中から公約数と共通認識を見出し、損失を避け利益を最大化するための道を模索することしかできない。段階を踏んで着実に進む方法だ。これは日本に対しても、中日関係の問題を解決する鍵が、常に日本側に握られていると注意を促している。(筆者:孟明銘 復旦大学歴史学部日本研究専攻博士課程院生)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年10月22日