寿司に大量のわさびを入れる、切符に差別的な名前を入れる、外国人差別の車内アナウンスをする――外国人観光客が急増している大阪では、店舗や企業のやり方が「差別」として問題となる事件が多発している。企業側は異口同音に「本人に悪気はなかった」と主張するが、専門家はこれに対し、「外国人に対する理解不足は観光業の発展にマイナス影響をもたらす」と警鐘を鳴らしている。
日本共同通信の18日の報道によると、大阪府と大阪市、現地の経済界が共同設立した大阪観光局は、大阪府が海外から迎える観光客は、2013年には延べ約262万5千人だったが、2015年には716万4千人にふくらんだ。さらに2016年は上半期だけで450万1千人が訪れている。
日本旅行ブームが高まる中、大阪中央区の「市場ずし」という寿司店は、大量のわさびを乗せた寿司を外国人客に提供していたという。この事件は「わさびテロ」とネットで話題となり、店舗の運営会社は今月2日、公式サイトに謝罪のコメントを出した。
同社によると、韓国人らしい客に過去にわさびの増量を頼まれた寿司職人が、外国人に対して事前確認なしに、通常より多いわさびを入れていたことが原因だという。
韓国メディアは数日後、外国人差別とみられるもう一つの事件を報道した。阪急バスが韓国人観光客に発行した切符に、乗客の名前として、韓国人に対する日本人の蔑称(べっしょう)である「チョン」が印刷されていたという。阪急側は、乗客の姓の「キム」の後にこの文字を入れていたことを認めたが、窓口の担当者は差別用語だとは知らなかったと語っている。
さらに今月10日には、南海電鉄の乗務員が車内放送で日本人乗客に対し、「本日は外国人のお客さまが多く乗車し、ご不便をお掛けしております」とアナウンスしていたことが問題となった。南海電鉄側はすでに、「客を区別するのは不適切」と乗務員に口頭で注意している。
似たような問題が多発していることについて、共栄大学(埼玉県春日部市)で国際観光振興論を教える鈴木勝客員教授は、「外国人客急増に日本人側の意識が付いていけていないため」と分析し、「悪い評価が増えれば観光客が日本を旅行に選択しなくなる」と懸念を示した。
鈴木教授はさらに、日本は国際観光の振興を打ち出しているが、「大阪のような事態は、全国で起こることができる」と指摘し、「お店や企業が外国の文化や考えを積極的に学び、従業員の理解を向上させる」ことの必要性を呼びかけた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年10月24日