上海師範大学中国慰安婦歴史博物館がこのほど開館式を開き、慰安婦像2体の建立式を開いた。ところが日本の菅義偉官房長官はあろうことか、「極めて残念だ」と表明し、「過去の不幸な歴史に過度に焦点を当てるものではなく、未来志向で取り組む姿勢が重要だ」と述べた。
歴史博物館を設立し被害者を記念するのは、情理にかなっている。日本政府の代表者である菅閣下のこのような発言こそが、まさに「極めて残念」である。
さらに「残念」なのは、日本政府の慰安婦問題への態度だ。旧日本軍の第二次大戦への反省をいい加減に終わらせ、慰安婦問題を意図的に隠そうとしていることから、日本社会(特に若い世代)はこの歴史に対して正確な認識を形成していない。日本政府は歴史を鑑とし、悲劇の再演を避けようとする中国の行為を「残念」としたが、菅閣下と日本政府の歴史をないがしろにした言行こそが歴史を「残念」にさせているのだ。
旧日本軍の慰安婦強制連行という非人道的な罪は、被害者の心身に深い傷を負わせている。日本政府は現在、かつて傷つけた国に対して「未来志向」を求めているが、この「傷」が癒えなければわだかまりなく未来を切り開くことができようか。
さらに不可解なことに、日本政府はいわゆる「価値観外交」を展開するとよく口にのぼせているが、慰安婦強制連行の罪を隠すことは明らかに基本的人権、世界の正義、人類の良識に背く行為である。これはどのような「価値観」を伝えているのだろうか。
歴史が時代の流れによって変わることはなく、事実も意図的な回避によって消えることはない。日本政府は隠そうと躍起になっているが、その一片で旧日本軍による第二次大戦中の暴行が、世界でより広く知られるようになっている。今や中国を除き、韓国、米国、カナダ、豪州などの国でも慰安婦記念像が建立されている。ユネスコは昨年「南京大虐殺の記録」を、世界記憶遺産に登録した。
日本政府は被害国に過去にこだわって欲しくなければ、まず歴史の罪を隠すのをやめ、心からの懺悔の心により歴史が残した影を払拭するべきだ。日本政府はいわゆる「残念」という気持ちに浸るよりは、中国外交部報道官の「日本の政治家はベルリンに行き、ドイツが建立したホロコースト記念碑を見学するべきだ。東京にも慰安婦像を建立できれば、日本が歴史の荷物をおろし、アジアの隣国から理解を得る一助になるだろう」という声に耳を傾けるべきだ。
未来志向の前提は、歴史の直視だ。こうして未来の新たなページがめくられるのだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年10月28日