安倍政権はこのほど、世界の多くの重要人物を迎えている。フィリピンのドゥテルテ大統領は先月27日に日本を離れたが、ミャンマーのアウン・サン・スー・チー国務資政が1日より訪日を開始した。
「Nikkei Asian Review」によると、日本の安倍晋三首相は「外交の秋」をスタートさせ、外国の十数人の首脳クラスを日本に招待している。その中には、東南アジアの人物が多く含まれる。
安倍首相は東南アジアで仲間を集めようとしているが、これにはどのような狙いがあるのだろうか。望みどおりの結果になるだろうか。
【経済支援のカード】
安倍政権は東南アジアを抱き込む姿勢を示している。ドゥテルテ大統領の訪日中、日本側は破格のもてなしをした。またドゥテルテ大統領が日本に到着する前に、安倍首相はドゥテルテ大統領の故郷(フィリピン南部のミンダナオ島)の農業開発支援に、約50億円の円借款を供与することを約束した。
スー・チー氏が、訪日を開始した。「Nikkei Asian Review」によると、安倍政権は今年9月にミャンマーの鉄道、水処理、インフラ整備などの分野を対象に、1250億円の円借款を供与することを約束していた。
【中国けん制で米国に「おべっか」】
上海国際問題研究院外交政策研究所大国外交室長の周士新氏は「中比関係が今年に入り改善され、中国と東南アジア諸国の関係が親密になっている。日本は行動に出なければ、東南アジア諸国がさらに中国側に歩み寄り、中国の東南アジアにおける影響力が拡大することを意識した」と指摘した。
日本は中国と東南アジア諸国の歩み寄りを懸念している。安倍政権はさらに、米大統領選後に、アジア太平洋地域で「権力の空白」が形成されることを懸念している。
【経済と安全は別問題】
日本が東南アジア諸国と緊密な経済関係を維持してきたことは、認めなければならない。しかし中国と比べ、日本は東南アジア諸国との経済関係で多くの「貯金」を持つが、成長の原動力が不足している。
また東南アジア諸国は、他国が経済援助を理由に安全のカードを切ってくることを願わない。安倍首相はドゥテルテ大統領の訪中を機に、フィリピンと米国の関係を取りなそうとしていたが、ドゥテルテ大統領から反発された。
ドゥテルテ大統領は訪日中に「フィリピン人には尊厳があることを、すべての人に伝えよう」と述べた。ドゥテルテ大統領は、外国軍が今後2年内にフィリピンから撤退すべきという観点を示し、特に米国がフィリピンを50年間植民地支配してきたことに触れ、フィリピンは米国の援助がなくても「生存」できると述べた。
アナリストもスー・チー氏の訪日について、双方の対話は経済協力に重きを置くと述べた。周氏は「東南アジア諸国の経済発展は、東南アジアとの関係を発展させたい国にメリットをもたらす。これは東南アジアの協力の主旨でもある」と話した。
日本が安全のカードを切り、一部の問題で越権行為に出れば、成功は難しいばかりか地域の平和と安定を損ねる。東南アジア諸国にとっては、どちら側にもつかないことが国益に合致する。この姿勢を変えようとする国は、成功を収めることができないだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年11月3日