日本海運会社大手の「商船三井」「日本郵船」「川崎汽船」がこのほど、定期コンテナ船業務を統合すると発表した。海運市場の低迷と同業者間の激しい競争に対応する。3社は約3000億円を投じて、来年7月に新たなコンテナ会社を設立する。運輸能力は、世界市場の7%の占める世界6位に躍進し、売上高は2兆円を超える。
3社の業務統合の原因は赤字だ。発表されたばかりの2016年度上半期(4-9月)決算によると、3社とも主要業務で赤字に陥っている。2016年度の純損益は赤字となり、赤字額は約3300億円となる見通しだ。このうち各社の営業收入の3割から5割を占めるコンテナ業務の赤字は際立っている。2016年度第2四半期(7-9月)の商船三井の赤字は440億円、川崎汽船の赤字は360億円、日本郵船の赤字は170億円にのぼった。
2008年の国際金融危機後、世界の貿易の成長速度は緩和し、海運市場の萎縮をもたらしていた。世界貿易機関の発表した世界貿易報告によると、2008年から2015年までの世界の国際貿易の平均成長率は約3.1%で、金融危機前の10年の平均貿易年間成長率6.7%の半分にも満たない。さらにここ一年は、世界の貿易成長率は1.2%に下がった。
この影響を受け、一部の製造業大国の輸出貿易構造はモデル転換・アップグレードを迎え、輸出加工を中心とする中間品貿易の比重は低下している。日本などの先進国は、運輸と為替レートのコストを引き下げるため、新興市場国に置いていた一部の製造業を国内に還流させ始めている。こうした状況は、海運に対する需要を減少させている。これと同時に、コンテナ船の輸送費は低迷が続いており、多くの船は、生産過剩や世界経済成長鈍化などの問題から、稼働されていない状態にある。最近では、韓国最大の韓進海運の破産が、海運業の陥った苦境をまざまざと示した。
世界的な船舶の供給過剩は、業界内の大規模な再編を促している。世界のいくつかの大手海運会社はここ2年、国際合併や業界再編などの措置を取り、支出の大規模削減をはかっている。フランスのCMACGMはシンガポールのアメリカンプレジデントラインズを合併した。中国遠洋は中国海運との再編を宣言した。ドイツのハパックロイドはクウェートのユナイテッド・アラブ・シッピング・カンパニーと合併について協議を展開している。
川崎汽船の村上英三社長は、「近年、欧州を中心とした合併・買収によって、寡頭独占の局面が徐々に形成されており、過去の小規模な協力では競争力を維持できなくなった」と語った。だが『日本経済新聞』の分析によると、業務を統合しても、日本の海運規模は依然として劣勢にあり、低燃費技術と運輸定時性で勝負するしかなくなっている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年11月11日