トランプ氏が米大統領選で勝利すると、国内外では次期米政権の対外政策の「不確定性」への懸念が広がった。トランプ氏はこの懸念を払拭するため、今月11日に「100日行動計画」を掲げた。トランプ氏は、力強い軍事力を築き、米国と同盟国がテロなどの過激派からの脅威にさられないようにし、迅速かつ持続的に行動に出ることで過激派の脅威をけん制するとした。また核兵器とサイバー攻撃による壊滅的な危機を解消し、米国の戦略核兵器の現代化と抑止力の維持に努め、米国のインフラのサイバー攻撃への脆弱性を下げるとした。
しかしながら国内外の声を聞くと、トランプ氏のこれらの措置が、人々の懸念を払拭していないことが分かる。
まず、米新政権は地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」から脱退する可能性がある。トランプ氏は、気候変動は嘘だと発言したことがある。トランプ氏は大統領選で、米国を同協定から「脱退」させると公約した。ケリー国務長官は13日、世界各国から懸念されるなか「大多数の米国人は、気候変動が実際に生じていると考えている。私はパリ協定の実行が正しい道であると信じている。次の政権がこの問題をいかに解消するかについては、見守ることしか出来ない」と述べた。
次に、環太平洋経済連携協定(TPP)が終了する恐れがある。NYタイムズによると、米上院多数派リーダーであるマコネル氏は、オバマ大統領が主導するTPP計画がすでに終了したと発表した。ワシントン・ポストもこの情報を裏付け、米上院少数派リーダーが、TPPは「すでに死亡」しており、議会が同法案を承認しないことを確認したと発言したと報じた。トランプ氏が就任を待たずしてTPPを槍玉に上げ、日本やシンガポールなどを失望させている。
それから、トランプ氏の当選により、世界の政治構造が再構築される可能性がある。ウォール・ストリート・ジャーナルは社説で、各国首脳はトランプ氏の、米国の国際事業への参与の制限について注目しているとした。トランプ氏が選挙中の公約を守れば、米国の外交政策は伝統的な同盟国と距離を置き、長期的なライバル関係のロシアに歩み寄る可能性がある。これは米国国内で懸念されている。元国務副長官のバーンズ氏は、トランプ氏のこれらの発言について「米国の国際社会での信頼を損ねている」と述べた。
最後に、トランプ政権は外交の人材が不足している。ボイス・オブ・アメリカは、「ワシントンは英才が集まる場所だが、経験豊富な外交政策の専門家は、共和党員、民主党員、民間人のいずれにせよ国際派だ。トランプ氏が強硬な孤立主義的な政策を進めるならば、政権内のメンバーの忠誠度が高くなることはない」と報じた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年11月16日