トランプ氏が大統領選で勝利した翌日、日本側は安倍晋三首相が17日にニューヨークで、次期米大統領と会談すると慌ただしく発表した。世界各国の首脳のうち、ホワイトハウスに入居するまであと二ヶ月以上もある次期大統領に、これほど待ちきれずに会おうとするのは安倍首相だけだ。
トランプ氏とヒラリー氏の対決で、安倍首相はヒラリー氏への期待を表明した。そのため今年9月に訪米した際には、ヒラリー氏としか会談しなかった。今になり急いでトランプ氏に会いに行くのは、まず賭ける対象を間違ったことへの謝意をほのめかすためだ。当然ながら安倍首相は今回、日米関係を強化し、トランプ氏とのプライベートな関係を構築する強い意向を持つ。具体的な動機は探りを入れること、もしくはトランプ氏に説明・説得を行うことだ。
最も重要なのは、トランプ氏が大統領選で環太平洋経済連携協定(TPP)に反対し続けていたことだ。トランプ氏は、これにより米国の雇用機会が減少すると考えている。オバマ大統領は11日、TPPの承認に向けた手続きを停止すると発表し、本件を次の大統領と議会に委ねた。「TPPは死んだ」という世論が形成されており、ケリー国務長官だけはTPPが死んでおらず、トランプ氏が大統領選中の考えを変えることに期待していると表明した。安倍首相もケリー国務長官と同じ考えを持っている。
さらにトランプ氏は、米国の防衛費の負担を軽減するため、日本に核兵器を開発させるよう提案した。これを聞き、日本人の心がうずいた。日本の核兵器開発の壁になっているのは米国であり、安倍首相はトランプ氏の発言が単なる気まぐれだったのか、それとも本当に日本への規制を緩和するのかを知ろうと焦っている。
トランプ氏と会談する際に、安倍首相は在日米軍の経費負担問題についても言及するだろう。トランプ氏は、日本が在日米軍の経費への負担を拡大しなければ、米軍を日本から撤退させると発言した。在日米軍の兵員は現在約4万1000人で、その経費の分担は双方が議論を続けてきた古い問題だ。日本は昨年米国と、2016年から5年間の在日米軍駐留経費の日本側負担を、9465億円とすることで合意した。安倍首相は今回の会談で、米軍駐留を歓迎する日本の立場を伝えると同時に、経費負担問題でも駆け引きを展開する。
「米国最優先」を強調するトランプ氏は大統領選の演説で、外国人(日本企業を含む)が米国人の食い扶持を奪っていると批判を繰り返した。さらには、海外の米国企業を国内に回帰させようとしている。多くの日本の経営者は不安になり、利益が損なわれることを懸念している。日米は経済関係が緊密であり、相互に深く浸透している。米国は日本にとって2番目の貿易相手国で、両国の貿易額は2150億ドルにのぼり、日本の貿易額の15%を占めている。安倍首相は今回トランプ氏に探りを入れ、日本の経営者の懸念を払拭しようとするだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年11月17日