中国社会科学院日本研究所主催の「日本政治・社会文化国際学術シンポジウム」が4日、北京で開催された。中国社会科学院や北京大学、日本の上智大学や一橋大学などの中日両国の大学、日本総合研究所や国際戦略研究所などの研究機関、朝日新聞社や日本経済新聞社などから、30人近くの専門家や学者が参加した。中国社会科学日本研究所の高洪所長が開幕式に出席し、式辞を述べた。
今回の会議では、「日本の社会構造と階層」「日本の社会思潮と運動」「日本の政治プロセスと意思決定」「日本の行政制度と改革」の4つの議題が設けられた。それぞれの議題の基調報告は基本的に日本側の学者が担当した。高洪所長は、こうした配置はこれまでにないもので、中国の日本研究の進歩と言えると指摘した。「日本人学者の報告に基づき、我々は、さらに立ち入った検討を行った。中国人学者が利益を得ることができたと信じている」
第一の議題となった「日本の社会構造と階層」では、学者らは、1990年代以降に日本のジニ系数が大幅に高まったことを指摘した。経済の長期的な低迷に伴い、日本の社会構造と階層には重大な変化が起こっている。格差が拡大し、中間層が「上流」と「下流」の両極に分化していることは、各種の社会的な摩擦や問題を引き起こしかねず、日本の政治や経済、社会の発展にも大きな影響がもたらされる可能性がある。
第二の議題となった「日本の社会思潮と運動」では、学者らは、1990年代以来、日本の社会思潮には大きな変化が出現し、平和主義の後退と民族主義の高まりがこのプロセスの主要な特徴となったと指摘した。新メディアやビッグデータの時代の到来に伴い、社会思想はさらに断片化するものと考えられ、日本の社会運動とその形式にも不可避的に変化がもたらされることとなる。
第三の議題となった「日本の政治プロセスと意思決定」では、学者らは、日本政治の過去20年の意思決定の変化は首相の権力の増強を特徴とするもので、「官邸主導」が日本の内政と外交にますます大きな体系的な影響を与えつつあると指摘した。政治家の地位が高まり、その意思決定が強化される一方で、民主におけるその他の均衡要素の役割をいかに発揮させるかが、日本の政治・政策研究が直面し、解明しなければならない重大な現実的課題となっている。
第四の議題となった「日本の行政制度と改革」では、学者らは、日本の行政制度と官僚体系は国家のガバナンス体系の極めて重要な一環であり、かつては日本の急速な経済発展と社会ガバナンスに良好な推進作用を発揮したが、バブル経済の崩壊とポスト冷戦時代の突入の後、制度の疲弊と不適応はますます際立ち、橋本時代の行政改革から安倍時代の政治改革までの相次ぐ改革につながったと指摘した。日本の行政制度とその改革を総合的かつ系統的に評価することは、日本国家のガバナンスや改革、発展を内部から理解し、日本の中長期の方向性を判断することに役立つ。
中国社会科学院日本研究所副所長の楊伯江氏はシンポジウムの総括で、「今回の会議で討論された問題の分野は多岐にわたり、研究者が知識を系統的に補充・更新するのを助け、現代日本の政治と社会の全貌を描き出した。会議は、問題に応えると同時に、多くの問題も引き出した。興味を引き起こし、後続研究を深めることができるかは、シンポジウムの成功を評価する要素となる」と発言した。楊伯江氏はさらに、「5つの基調報告を日本側が担任したのは、中国の日本研究の成熟と自信の表れだ。中国は今後も、日本に対する着実な研究を深めていく」と語った。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年12月6日