苦しい時は自分頼み
日本メディアは、安倍首相の外交が未曾有の危機に陥っていると論じており、日本が米国の「万年属国化」の危機に直面すると恨む声もある。現状を見ると、日本の外交の課題はチャンスを上回るが、危機の中にチャンスがないわけではない。安倍首相は正反対の2つの選択肢を突きつけられている。
まずは古い選択肢、あるいはそれのアップグレード版だ。これはつまり米国との連携強化と、遠く離れた国との交流で中国をけん制するという発想にこだわり、さらには米国のアジア太平洋リバランス戦略の動向が不明な時に無理に先頭に立つなどだ。そうすれば安倍版「日本の夢」、すなわち自主的な政治大国になるという目標の実現は、遠い先の話になる。
次に日本の外交の全体戦略を調整し、対中関係の発展の方針を調整する。危機の中でチャンスをつかみ、打開を目指す。米国は将来的にアジア太平洋で縮小する傾向を示しており、日本が健全な自主自立の道を歩むため、これまでよりは条件が整うことになる。アジアの開発途上国の集団的台頭により、日本の発展と経済的利益の基礎の所在地が移り変わる。日本の外交の振り子は、「日米同盟+日中の協議」というバランスの取れた、穏健で保守的なルートに適度に調整されるかもしれない。
アジア太平洋の構造は岐路に立たされており、アジア太平洋の地域協力と一体化が新たなチャンスを迎えている。TPPが米国により妨げられ、米国の貿易保護効果が世界経済の不確定性を高めれば、アジア経済に衝撃をもたらしうる。そうなればアジア太平洋は自立する必要があり、地域の自由貿易計画も発展のチャンスを迎える。日本はこれにより地域発展の大家族に溶け込み、実益・地位・影響力を手にすることができる。願ってもないことだ。
習近平国家主席はペルーAPEC首脳会議で、多国間貿易の発展を支持し、中国の扉が閉ざされることは永遠にないと強調した。中日はRCEPと中日韓FTAを共に推進し、アジア太平洋の多国間貿易発展を目指すことが完全に可能だ。中国は協力とウィンウィン、共同発展を軸とする新型国際関係の構築を主張しているが、これは同じく中日関係の発展に適用できる。しかし安倍首相は中国を前にして「政経分離」を強調し、中国を収益源としかとらえておらず、利益の共有と協力によるウィンウィンの発想が足りない。日本側は最近、「新しい時代にふさわしい中日関係」を主張したが、これは中日の戦術相互損失関係を、正常な利益の交流という低レベルな状態に戻すことしか目指していない。この誠意と高みのない考えに、力強く推進する「中国包囲・中国けん制」の外交が加われば、やはり裏表のあるやり方と言わざるを得ない。
順調であれば、安倍首相にはあと数年の任期が残されている。これほど長年に渡り政権運営したにも関わらず、日本の周辺環境を悪化させ、対中関係を互いに疑念を抱き損失を被るという袋小路に追いやり、日本をますます米国から離れられなくし、地位を低下させただけならば、その政治家としての歴史的評価と地位については推して知るべしだ。人を頼み、他者を警戒するよりは、自分を頼みにしたほうがいい。安倍首相が危機の中からチャンスをつかむ時が来ている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年12月7日