なぜ創業しないのか?伊藤征樹さん(40)は2013年に創業を思い立ち、北京で日本の家庭料理を教える教室を開いた。伊藤さんは「規則を重視する日本では、通学、勤務、結婚、子育て、定年退職というレールが敷かれている。他人と異なることをすれば、おかしいと見られる。そのため日本の多くの若者は、創業という選択肢に思い至らない。両親は一生会社員で、創業者と接する機会がほとんどない。日本では、創業は危険なこととされている。頭のいい人が創業に成功しても、部下に創業を勧めることはなく、計画された仕事をしっかりやることだけを願う」と話した。
「創業は危険」これは韓国KBSテレビの某番組が唱えた説かもしれない。同番組によると、中国の若者が創業に成功するまで「国と社会が許す失敗の回数」が2.8回であり、米シリコンバレーで創業する若者の失敗の回数と同等だという。日本は1回、韓国は1.3回。失敗できる回数が少なければ、挑戦できるチャンスが少なくなる。
創業資金は、日本人の創業の難題となる。彼らはなかなか数百万円の融資を得られない。瞬氏は中国の状況について「若い世代の多くが甘やかされて育った一人っ子で、何をするにしても家族から支援を受けようとする。創業は金がかかる。ベンチャー投資はプロジェクトの成長期に介入しようとし、草創期の費用は自分で集めなければならない。若者は家族の支援がなければ困難だ」と指摘した。「2016年中国大学生就業報告書」のデータも、専門家の観点を裏付けている。2015年度卒業生の自主創業の資金は、両親・親戚・友人の投資、融資、個人の貯蓄が78%となっている。商業目的のベンチャーキャピタル、政府からの支援は5%未満と低い比率だ。
資金、人脈、経験などの原因により、日本の創業者が「高齢化」している。韓国の状況にも、日本と似た点がある。韓国の若者が最も懸念しているのは「創業失敗のリスク」だ。「中日韓青年創業報告書」の調査によると、韓国人回答者の38%がこれを挙げた。中国人は17.8%。韓国の若者の創業の多くが、技術力の低い競争が激しい分野に集中しており、ハイテク・先端産業が少なくなっている。これにより、創業の失敗が深刻化している。韓国統計庁が昨年10月に国会に提出した統計データによると、若者が創業した小企業のうち、1年内に倒産する割合が51%、5年内が83%に達する。