共同通信によると、日露首脳会談後に双方はプレス・コミュニケで、両国政府関係部門が「共同経済活動」を行う条件や形式、分野などの諸問題に関する議論を開始し、これを双方の平和条約締結の重要な一歩とみなすと発表した。
中国現代国際関係研究院世界経済研究所の陳鳳英所長は「日露のやり方は実際には、四島の領土主権の帰属という重要な問題を回避し、資源の共同開発を現在の問題の解決手段にしている」と指摘した。
「共同経済活動」は日本に希望をもたらしたかに見えるが、実際にはロシアは四島の領土問題で強硬な姿勢を貫いている。東京新聞は、日本が会談で完敗したと報じた。日露は平和条約の交渉を行っておらず、また同条約と関連する声明や文書を発表していない。ただ北方四島の「共同経済活動」の協議を開始することで一致しただけだ。
日露政府は現在、8つの経済協力案の具体化を進めている。そのうちロシアが特に重視しているのはエネルギーで、日本企業からの積極的な投資を望んでいる。日本にとっては、地理的に近く輸送費が安くつくため、ロシアでの原油生産には多くのメリットがある。
陳氏は「北方四島の資源には開発の価値があり、かつエネルギー協力は日露の共通の利益となる。日露は経済協力を利用し、70年以上に渡る溝を埋めようとしている」と述べた。
また日本との「共同経済活動」の合意で、ロシアは新たな希望を目にしている。ロシア下院国際問題委員会のスルツキー委員長は、メディアのインタビューに応じた際に「南クリル諸島(日本名・北方四島)の共同経済活動は、西側の対露制裁の封鎖の突破と見ることができる」と話した。
外交学院の高飛教授は、「ロシアから見ると、日本との共同経済活動の合意には、政治面の象徴的な意義があり、経済面の象徴的な意義もある」と指摘した。
北方四島問題の進展を目指す安倍晋三首相は、ロシアとの対話に取り組み続けている。英タイムズ紙は、安倍首相はロシアがクリミア併呑により西側から制裁を受けるなか、善意を示すため賭けに出たと分析した。しかし2日間の会談後、日本側の善意は見返りを手にしなかった。しかも最終的には、日本の犠牲は収穫を上回った。
高氏は「日本には日本の計算がある。北方四島の領土問題は、安倍首相が国内の宣伝に利用する、政治的な道具だ。安倍首相はこの手段により、日本国内のナショナリズムを煽り、自分の政治的な成績に点数を加えようとしている。また日本の北東アジアにおける地位を高めようとしている」と分析した。
しかし日本がロシアから北方四島を取り戻そうとしても、それは高望みだ。変化が激しい世界情勢により、日本が成果を手にすることができるかは、二国間だけの問題ではなくなっている。さらに次期米大統領のトランプ氏の、ロシアへの態度の変化による影響を受ける。
高氏は「安倍首相は米露関係に変化が生じるのを待てず、先陣を切っている。過去を振り返ると、対露経済制裁で最も迷いを見せていたのは日本だ。ソチ冬季五輪より、日本の高官が訪露を続け、日露間でコミュニケーションを図ろうとしていることを印象づけた。ところがロシアと西側諸国の関係がクリミア問題で悪化を続けると、日本は米国に追随し対露経済制裁に加わらざるを得なくなった」と述べた。
しかしロシアは日本に冷水を浴びせることに慣れている。陳氏は、日本にはロシアに譲歩を迫るほどの影響力がないと判断した。
日露両国の領土問題をめぐる過去の交渉を振り返ると、日本の歴代政権は解決策を提案しているが、いずれも成果を手にすることはなかった。安倍首相は日本の伝統を受け継ぎ、プーチン大統領との個人的な信頼関係を構築することで、局面を打開しようとしている。しかしアナリストは、「領土問題の交渉で、日本は当初四島返還を求めていたが、次に二島になった。今回はゼロから出発し、後退しつつあることを印象づけている」と指摘した。
高氏は「日露の領土問題の溝が、一日や二日の交渉で埋められることはない。日本は領土問題解決の準備を整えておらず、時期が悪く、方法も間違っている。短期的に、ロシアの四島の領有権に対する強硬な態度を覆す望みはない」と話した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年12月22日