トランプ大統領の経済外交は、脅しの連続だ。TPP離脱、大西洋横断貿易投資パートナーシップ協定(TTIP)、北米自由貿易協定(NAFTA)など、アジア太平洋、大西洋両岸、北米の多国間貿易枠組みで、「もうやめる」と同盟国に伝えている。さらに安保の経費分担をめぐり、NATOと日韓を批判している。さらに常識はずれの手段により、メキシコに国境地帯の壁建設を迫っている。しかし米国の脅しに対して、欧州は断固反撃し、厳しく批判している。メキシコもその手に乗らず、ニエト大統領はトランプ大統領からの無理な要求を拒み、訪米を中止した。豪州も、トランプ大統領による豪首相への失礼な電話外交について反撃している。
その他のアジア太平洋諸国では、トランプ大統領のTPP離脱に失望する国が多く、さらに中国がアジア太平洋自由貿易のリーダーシップを担うことに期待している。
トランプ大統領の手に乗ったのは、日韓両国だけだ。韓国は政局が混乱し、国家に代表者がいないため、トランプ大統領との意思疎通が遅れている。日本政府はトランプ大統領の当選から政権運営に至るまで、その物議を醸す政策を批判せず、迎合し同調しているだけだ。世界の公敵(米国では弾劾や軍事クーデターなどの声が上がっている)になったトランプ大統領は、日本から外交面での同調を得ようとしている。世界3位の経済大国の日本が、外交・軍事・安保・経済面で完全に米国に協力すれば、トランプ大統領の大胆過ぎる政治の基盤が固まり、かつ中国けん制や欧州の同盟国による不満の解消にも役立てることができる。
安倍首相はこの上ない誠意を示しているが、これは絶対に偽りの中身のためなどではない。安倍首相はより緊密な米日同盟関係により、自身のアジア太平洋における地位を保証し、特に米国の力を借りて中国をけん制しようとしている。さらに米日同盟を通じ苦境に立たされたアベノミクスを推進しようとしている。これが出来なければ、首相の道も終わりになってしまう。(筆者・張敬偉 察哈爾学会高級研究員、中国人民大学重陽金融研究院客員研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年2月9日