日本の安倍晋三首相は今月9日夜、念入りに計画していた訪米を開始した。安倍首相は英国の首相に続き、ホワイトハウスに入りトランプ大統領と首脳会談を行う2人目の海外首脳となる。経済・貿易の手土産を持ち、「ゴルフ外交」をアピールし、米新政権と親密な関係を構築しようとしている安倍首相の願いはかなうだろうか。
日本側の思惑
安倍首相は昨年末の訪米後、今年1月下旬に再訪し、トランプ大統領就任後に初めて会談する海外首脳になることで、日米の「堅固で緊密な同盟関係」を対外的にアピールするつもりだった。しかし米国側の日程が変わり、訪米はやむなく2月中旬に延期された。トランプ大統領の就任後、両国首脳の会談は今回が初。
日本政府内では、今回の訪問を「破格の厚遇、日本重視の現れ」と見る向きがある。トランプ大統領がこれまで、貿易・為替・安保経費などの面で日本を批判していたことを鑑み、安倍政権は今回わざわざ「日米成長雇用イニシアチブ」という「手土産」を用意した。これで誠意を示し、トランプ政権からの批判をかわそうとしている。
イニシアチブの主な内容は日本による対米インフラ投資で、米国で数十万人分の雇用機会を創出し、米国の経済成長に貢献し、かつトランプ政権との関係を強化する。しかしながら米国の2016年の貿易赤字額(国際収支ベース)を国別に見ると、日本はドイツを抜き2位になった。そのため日本メディアは、トランプ大統領が10日の日米首脳会談で、この巨額の赤字問題を安倍首相に突きつけ、圧力をかけ続けると予想している。
また日本国内で強い反発を起こし、政府と沖縄県の関係をこじれさせている普天間基地移設問題をめぐり、安倍首相は10日の日米首脳会談でトランプ大統領に進捗を直接説明し、かつ日米同盟および在日米軍が「重要な力」を発揮していることを強調し、理解を求める構えだ。
問題が山積
安倍首相が誇らしそうにしている「ゴルフ外交」については、日本国内で批判の声が上がっている。一部の市民は7日、首相官邸前で「トランプ追随反対」のシュプレヒコールを上げ、安倍政権に日米同盟ではなく、憲法と国民生活を最優先するよう求めた。野党も両国が親密になりすぎると、国益が損なわれることになると懸念している。
安倍首相が手土産でトランプ大統領の歓心を買おうとしていることについても、多くの日本企業から疑問視する声が上がっている。トランプ大統領の就任により経営方針を変えろというのか、ということだ。安倍首相の訪米が純粋な朝貢外交であると批判する声が強まっている。多くの日本企業は、安倍首相がトランプ大統領に気に入られるため、「企業自身の能力」を超えた要求をしていると不満そうに表明した。
トランプ大統領就任後の日米関係の動向について、日本経済新聞社とテレビ東京は世論調査を実施した。日米関係が「悪くなる」は53%で、「良くなる」はわずか6%。日本メディアは、トランプ大統領が就任後、米国の日本企業に強く干渉しており、日本国内で不安が広がり始めていると分析した。
ロイター通信は本件について、「安倍首相はトランプ大統領との個人的な親しい関係を構築しようと意気込み、米日間の特殊な戦略的パートナーシップを強化しようと焦っている。そのため法外な値段をふっかけることが得意なトランプ大統領に、今後後悔することになる厳しい要求を突きつけられる可能性がある」と指摘した。米CNN(電子版)も「日本の一部の専門家は、個人的な関係にせよ両国関係にせよ、安倍首相はこの外交で目的を達成できないかもしれないと懸念している」と分析した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年2月10日