中日韓は3カ国交流の構造を脅かすさまざまな消極的要素を、いかに処理すべきだろうか。これは物議をかもしている政策的問題であり、また東アジアの政治に突きつけられている世紀的な難題だ。
中日韓はすでに広く深い経済・社会関係を構築しているが、これは中日韓の係争と摩擦の損失回避にとって非常に重要だ。具体的に見ると、関係の対立と悪化の継続により、直接的な軍事衝突が発生することを回避し、安全問題が国家間関係の基礎的な分野に及ぶことを回避しなければならない。例えば経済・貿易および社会的な交流が、特に重要になる。損失回避で重要になるのは、3カ国関係のさまざまな対立点において、二国間の事務的・機能的な協議を展開することだ。行為規則と信頼醸成措置を決め、相互間の実務的な協力を強化し、敏感な問題をめぐる潜在的な危機を効果的にコントロールする。
中日韓の関係改善には「戦い」が必要だ。中国は自国の関心事を毅然たる姿勢で表現・反映し、戦いの中で局面を打開する手段とルートを模索するべきだ。
この面において、中韓と中日には異なる点がある。韓国は独断専行でミサイル迎撃システム「THAAD」配備を決定し、中国の戦略的利益と北東アジアの戦略的安定を著しく損ねたが、中韓間の政治的意思疎通は中日よりも良好だ。中韓間の安全の対立も、「中国けん制」をひたすら自国の戦略的目標とする安倍政権が率いる日本とは大きくかけ離れている。朝鮮問題が確かに、中韓間の溝となってはいるが。
中国の戦略的な関心事を無視し、中国の安全の利益を損ねる日韓の行動に対して、中国は断固として最後まで戦うことになる。しかし戦いは手段であり、協力とウィンウィンこそが目的だ。
中日韓関係の改善に必要なのは、中国の揺るがぬ「戦略的忍耐心」だ。冷戦終結後、北東アジアの地政学的情勢が今日ほど複雑で微妙な時期はなかった。中日韓の経済・社会関係は、かつてないほど深まった。訪日中国人客が2016年に28%も増加したことは、これを分かりやすく証明している。中日韓の経済・貿易・投資協力を維持し、3カ国の自由貿易区を含む経済一体化を共に推進する。これはアジアの繁栄と平和を築く中国の基本的な信念だ。
しかしその一方で、冷戦終結後より中日韓間の安全の利益を巡るもつれと対立が、今日ほど深刻な時期はなかった。安全の関心事をめぐり歩み寄るためには、一つの過程を踏まえ、方向性を見据え弛まず努力する必要がある。3カ国の社会とメディアは意思疎通の架け橋としての力を発揮し、双方の客観的かつ理性的な認識を促進するべきだ。(筆者:朱鋒 南京大学国際関係研究院院長)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年3月20日