カツ丼で「風前の灯火」となったアベノミクスの不調を味わえるならば、サラダ油混ぜご飯は社会の二極化という苦味を味わうことができる。
朝日新聞によると、長野県で生活する30歳のシングルマザーは、10歳にもならない娘2人と生活している。彼女の月収は多くても15万円程度で、光熱費と国民健康保険料を滞納している。サラダ油混ぜご飯は、一家のご馳走だ。
一橋大学経済研究所の小塩隆士教授の研究によると、アベノミクスを実施した2013−15年の間に、個人所得を支える中間層が減少し、二極化の傾向が強まった。これは金融緩和策による株価の高騰により、富の分配が富裕層に傾き、賃上げも多くの人に利益をもたらさなかったからだ。
また日本の雇用環境の悪化も、各世帯と子供の貧困率が上昇する原因となっている。非正規雇用の拡大により、賃金だけでは家計を維持できない世帯も増えている。小塩氏は「企業の新規雇用は低所得の非正規雇用が中心だ。企業の業績改善により、高所得の人の利益が自ずと拡大した。同じ仕事の内容でも賃金が異なるという形式により、知らぬ間に貧富の格差が拡大された」と指摘した。
呉氏は「貧富の格差の他に、アベノミクスは別の二極化を生んでいる。これは東京と地方自治体の二極化、大企業と中小企業の二極化だ」と述べた。これは野党の安倍首相に対する批判材料になっている。東京にある大企業が利益を手にしても、そのメリットを日本全国に広げていないのだ。共同通信が指摘するように、アベノミクスの目標は大企業と富裕層に先に利益を与え、中小企業と中・低所得層に利益をもたらすことだ。しかしアベノミクスの実施期間中、日本の実質GDP成長率は年平均で0.7%のみで、貧富の格差の縮小の希望が見えていない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年3月20日