中産階級、教育の負担が倍増
ゆとり教育は全社会の教育の供給状況を変えた。中産階級の家庭は、子供に教育面で成功を収めさせるため、大きな負担を強いられる。経済的負担、選択の迷い、一家総出で受験対策。これが3つの重荷だ。
日本の数多くの中産階級の家庭は、上述した私立の教育機関に多大な経済的貢献を成し遂げている。日本国民の可処分所得に占める教育・塾の支出は、1970年頃から大幅に増加している。1976年から始まるゆとり教育は、この上昇傾向にまったく影響を及ぼさなかった。言い換えるならば、1976−95年の20年間に渡り、家庭の教育費が減少しなかったばかりか、増加を続けたと言える。さらに恐るべきことに、進学率は1970年代後半まで低下を続けた。この期間中、学生と家庭の進学の圧力が拡大し、家庭の経済的条件が良くない学生にとっては、不公平が拡大したことが分かる。
経済的な圧力の他に、ゆとり教育は全体的に必修の教育基準を引き下げた。学生は自由に学ぶ余地が増えたように見えるが、この年齢の学生は自分のこと、社会の需要、さらには受験戦争のルールを十分に理解していない。自ら適切な教育資源を選ぶことは、学生の能力を上回っており、多くの保護者の見識をも上回っている。教育と社会のルールに精通しているインテリの家庭でなければ、多くの保護者は子供の学業の選択で為す術を失い、焦りを覚える。塾の誘惑、保護者間の模倣や比べ合い、苦しい時の神頼みといった心理が、過度な学習を引き起こす。その結果、学業の負担がさらに拡大している。効果がないばかりか、逆効果の場合もあるのだ。
『中学受験は親が9割』というベストセラー本は、非常に具体的に保護者の受験対策を伝授している。日本の受験対策はもはや学生だけのことではなく、負担が保護者にまで広がっている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年4月13日