上述したように、日本のゆとりには見直す点がある。まず、人口減と大学の生徒募集により、大学合格率が90%以上に達した。多くの生徒が入学し、受験すれば合格という状況になった。さらに義務教育の学習目標がゆるくなった。これは学習が楽になった、決定的な要素だ。次に、日本政府は民間教育機関を管理する手段が少なく、主に市場メカニズムに依存している。これが長期化すると、個性的な教育を提供し教育水準を上げられるのは、民間教育機関だけになった。合格率は全体的に見ると大幅に上昇したが、一流大学を目指す学生にとって、競争は依然として激しい。家庭と学業の負担も重い。それから、ゆとり教育がやり過ぎであることを認識した日本政府は、方針の急転換を決意した。義務教育の教育基準を計画的に引き上げ、必修内容と学習の難易度を高めた。2008年より小学校の教科書のページ数が25%増加したが、これは転換点とされている。
中日両国は似たような社会的背景を持つ。日本の30年以上に渡るゆとり教育の経験と教訓は、中国にとって参考にする価値がある。他にも両国には次のような共通点がある。同じ東アジアの儒家思想の伝統的な文化圏にあり、学歴社会の強い意識がある。保護者は子供に良い教育を受けさせようとする。人口が受験の激しさに直接的な影響を及ぼす。さらに一定期間の高度経済成長により、家庭内の可処分所得が増加した。保護者は子供に受験戦争に勝たせたいが、勉強で苦しむことを望まない。全社会が受験を批判し、負担軽減を呼びかけている。その一方で、中日の政治・経済体制は異なり、政策を実施するための条件も異なっている。中国は公立教育の配置の強化を通じ、保護者と民間塾市場による干渉を弱め、人の教育と受験の間でより良いバランスを目指す可能性が高い。また中国は全面的に公立教育を振興させ、公立の課外教育を活性化させることで、保護者の負担を軽減し、中産階級の子育ての意欲を引き出すべきだ。学生に豊富で多元的な学業の挑戦を提供し、国のために人材を蓄えるべきだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年4月13日