20日付読売新聞は、日本政府は米国抜きで、11カ国版の環太平洋経済連携協定(TPP)をリードすると報じた。麻生太郎副首相兼財務大臣は米国時間19日、今年5月にベトナムで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)で、11カ国の合意を目指したいと述べた。日本のこの熱意は20日、なんの反応も生まなかった。日本メディアでさえ、11カ国すべてがTPP再開を望んでいるわけではないと疑問視した。ペンス米副大統領は「TPPはすでに過去のものだ」と表明した。
トランプ大統領が就任後、直ちにTPP離脱を発表し、日本に不快感を抱かせた。20日付読売新聞によると、日本政府はTPPを離脱した米国の「復帰」を求めて説得にあたってきたが、当面は困難と判断し、方針転換した。アジア圏の自由貿易構想では、TPPのほかに、中日韓や東南アジア諸国連合(ASEAN)など16カ国でつくる地域包括的経済連携(RCEP)の締結交渉が進んでおり、年内合意も取りざたされている。ただ、交渉は中国主導で進んでおり、日本政府は「市場開放が不十分に終わる恐れがある」と警戒している。このため日本が主導したTPPの発効を改めて目指すことにした。
菅義偉官房長官は20日、「あらゆる可能性を排除しない」と表明した。5月に開かれるTPP閣僚会合で「TPPで合意した高レベルの貿易ルールを実現するためにどのようなことができるか議論したい」という。また米国に粘り強く再加入を呼びかけると強調した。
新たに設立された日米経済対話枠組みの初会合が18日、米国で開かれた。日本は米国が同会合で提示した条件に強い不満を持っている。ロイター通信は20日、日本は二国間貿易協定を結ぼうとする米国の要求、特に日本の保護主義が深刻な農業市場の開放に応じなかった。麻生氏は、日本にとって日米二国間協定の利益は「TPPのレベルにはいかないことははっきりしている」と述べた。麻生氏によると、TPP枠組み内であれば、日本は米国に妥協し損失を受け入れるという。この損失は他国との貿易により補うことができるが、二国間の枠組みでは不可能だ。共同通信は20日、日本政府が重点を11カ国のTPPに置き直しているのも、米国をけん制するためだと分析した。
20日付日本経済新聞によると、11カ国でのTPP実現は、容易なことではない。日本やオーストラリアは前向きな一方、ベトナムなど米国との交渉で大幅譲歩した国からは協定内容の変更を求める声があるもようで、11カ国内の温度差は残る。しかし政府は5月のAPECで共同声明を採択し、11カ国が米国抜きでTPP交渉を継続することを確認しようとしている。
日本とオーストラリアの他に、メキシコも米国抜きのTPPに関心を示している。ロイター通信の20日の記事によると、メキシコのグアハルド経済相は、TPPは米国抜きでも発効可能であり、一部の文言を修正するだけで良いと表明した。共同通信は20日、米国という巨大な市場が含まれないTPPは、日本企業にとって魅力的ではないとする声があると伝えた。日本テレビによると、政府は「11カ国版TPP」をリードすることで、トランプ政権をけん制できると判断している。しかし本当に交渉再開した場合、協定の多くの内容を変更しなければならず、交渉の長期化は免れない。
日本企業中国研究院執行院長の陳言氏は「日本がリードするTPPに実質的な意義はなく、成功の可能性も低い。シンガポールやベトナムなど交渉参加国が意欲を示していたのは、貿易と関税減免により大国への輸出を拡大しようとしていたからだ。日本は世界3位の経済国だが、人口は1億人余りで、世界に大規模な消費市場を提供できない。米国と中国が抜きであれば、TPPは優れた概念を持っていても意義がない。日本の経済規模と能力では、日本がTPPをリードしても世界経済に与える影響は少ない。安倍政権は実際には、TPPにより仲間を抱き込み中国をけん制しようとしているが、恐らくは願い通りにならないだろう」と指摘した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年4月21日