中産階級を広げる役割を失った教育
教育を受ければ出身は関係なくなる。企業や政府は試験の成績の良し悪しで社員や官僚を採用する。この制度は今日の日本でも依然として役割を発揮している。だが「一億総中流」時代の日本と比べれば、教育はすでに、中産階級を拡大する有效な方式ではなくなっている。
日本の大学は従来、生まれた場所は考慮せず、点数だけで合格を決めている。だが有名大学に入るには、子どもが小さな頃から静かに学習できる部屋を持っていなければならない。参考書を買うお金があるとか、必要なら塾で補習するとかいうことも、必要な条件となる。このような条件を満たし、普通の知力を持っていて初めて、努力してトップレベルの大学に入ることができる。
東京大学は数年ごとに学生の家庭状況についての調査を行っている。最新の調査結果は2014年に出された。東京大学は日本でトップの大学で、東京大学への入学は、多くの学生の努力する目標となっている。2014年の調査結果によると、東京大学への入学者は、家庭条件の比較的良い学生が中心となっている。年収950万円以上の日本家庭は、日本家庭の総数の22.0%にすぎない。だが東大生に限れば、54.8%の学生の家庭収入がこの額を超えている。裕福な家庭であるほど、子弟が東大に受かる可能性は高くなる。
もちろん東大生の中にも、比較的貧困と言える年収450万円未満の家庭の出身者はおり、その率は13.5%ある。家庭収入が低ければ東大に行くチャンスがまったくないとは言えない。だがそのような学生はより高い才能に恵まれ、より懸命に努力する必要がある。
日本の階層固定化は、中間層拡張に果たす教育の役割が縮小したことにも大きくかかわっている。家庭の経済状况が良くない学生は、普通の大学に入るだけでは自身の運命を変えることができない。普通の大学の卒業生は多くの場合、希望の大企業には入れず、安定した仕事条件も得られず、高い賃金も望めない。普通の人が教育を通じて中産階級に入れなくなれば、社会階層の固定化はより強まる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年4月28日