日本の安倍晋三首相は4月27日、ロシアを訪問し、「北方四島」(ロシア側呼称「南千島群島」)の経済協力問題について協議した。会談では、ロシア極東地域での「8項目の経済協力プラン」について、具体的な政策の進展を確認する計画だ。日本新華僑報網が伝えた。
2012年の第2次安倍政権発足以来、プーチン大統領は日本を一度、あわただしく訪れたにすぎない。だが安倍首相はすでに4回にわたってロシアを訪れている。もっとも今回の日露交渉では、双方がいずれも、高い熱意を示している。各自の背後には、どのような戦略的な意図が隠されているのだろうか。
まず、ロシア側が日露交渉に積極的に応えているのは、領土問題での緊張緩和と交換に、日本の経済協力を手に入れたいとの期待がある。2014年3月以降、日本がウクライナ問題で欧米諸国に追随し、ロシアに制裁を実施したことから、日露両国の関係は急速に悪化し、ハイレベルの交流もほぼ途絶えた。
2016年から物議をかもしている「THAAD」システム配備では、世界の注目は東アジアの国・地域に集まりがちで、ロシアからの声はほとんど伝わっていない。だが実際にはロシアは、米日韓が構築を試みている北東アジアのミサイル防衛体系に反発し、繰り返し警告を発している。
そのため米日同盟が大きく変動することはない情勢の下、安倍首相が望む「北方領土」問題での実質的な突破は難しい。ロシアはただ、これをカードとし、日本の経済協力、とりわけ極東での投資を手に入れようとしているだけだ。
次に、日本はロシアと会談することで、自らが受けるロシア側の戦略的な圧力を軽減しようとしている。日本防衛省が1月20日に発表したデータによると、「領空侵犯」の恐れのある外国の航空機に対し、航空自衛隊の戦闘機が昨年度にかけた緊急発進(スクランブル)の回数は1168回で、2015年度から295回増えた。
国・地域別に見ると、中国の軍用機への緊急発進回数は、全体の73%を占める851回で最多となり、前年度から280回増えた。ロシアはこれに次ぐ26%の301回で、前年度から13回増えている。緊急発進をかけられたロシアの戦闘機は多くが、日本列島の東西両側を飛行していた。