これらの航空機は日本の領空を侵犯はしなかったが、日本との距離は非常に近付いていた。ロシアの戦闘機の飛行活動には、抑止力の意図があるものと見られる。戦略爆撃機を含め、ロシアはしばしば、日本の周囲での巡航を展開している。安倍首相は会談を通じて、ロシアに自制を求めたい構えだ。同時に中国の影響力とバランスを取り、日本海域での中露の軍事協力のさらなる発展を回避するねらいもある。
さらに、安倍首相は、エネルギー問題を通じて日露関係正常化を促進することを望んでいる。ロシアは大統領選が近いことから、領土問題で譲歩を得ることはできない。そのため安倍首相の訪問は、エネルギー協力の分野に重点を置き、未来に突破口を開くものとなると考えられる。
これには、両国によるイルクーツクの石油・ガス資源の共同開発、日本への天然ガスパイプライン建設の実行可能性の検討、さらにエネルギーの精密精製や電気エネルギーの分野、再生可能エネルギープロジェクトの建設での協力の強化が含まれる。日本政府も近日、日露首脳会談では20項目余りの経済協力合意を達成できる見込みだとしている。
安倍首相は今回の訪問を通じて、国内の各種の政治的スキャンダルから逃れ、政治と世論の圧力を緩和しようとしている。相次いで起こった森友学園と寄付金の問題で、安倍首相は対応に追われ、世論の非難も高まっていた。
さらに天皇の生前退位に関する細則の立案、復興大臣の不適切発言の問題など、安倍首相の最近の政治生活は困難に直面しており、国内の視線を海外に移す願ってもないチャンスとなった。
だが欧米にとって現在は、シリア問題をめぐってロシアと激しく争うカギとなる時期にある。安倍首相のロシア訪問は、ロシアに対抗する足並みを乱すものと西側陣営に捉えられかねず、安倍首相は板挟みのポジションに落ち込む可能性もある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年5月4日