他人に迷惑をかけない、これは日本の人間関係の重要な原則だ。しかし個人の独立を過度に強調すれば、極端化する。NHKが2010年に放送したドキュメンタリーによると、日本は「無縁社会」に入ろうとしている。無縁とは職場とのつながり、親類との絆、故郷との隔たりを意味する。少子高齢化、失業、独身、都市化により、次のような人が生まれている。生きてはいるが働かず、配偶者も子供もなく、つながっている人がいなく、実家に帰らない。亡くなっても誰にも知られず、遺体の引き取り手もいない。彼らの社会も徐々に、縁のある社会から「無縁社会」に変わっている。統計データによると、日本では毎年3万2000人が「孤独死」している。
騒音問題専門家、八戸工業大学教授の橋本典久氏は「子供の声は我慢してくれ」「工場の騒音を取り締まるように、子供の騒音を取り締まる」という2つの考えは両極端だと指摘する。橋本氏によると、「幼稚園の騒音」は声の大きさの問題だけではなく、人間関係とも関わっている。防音壁などの措置のほか、互いに譲り合う温かな人間関係も重要だというのだ。
暮らしにはさまざまな不快なことがあるが、発想を変えてみれば異なる結果が導き出される。筆者は先ほど、東京都品川区の高齢者福祉施設を訪問した。この施設は10階建てビルの5−10階部分にあり、1−4階は中学校の校舎だ。院長によると、これは高齢者に若者の活力を感じてもらうためであり、また中学生もボランティア活動に参加しやすくなる。「心の絆」により、高齢化問題を共に解決できるというのだ。
退職後の年金に、当時の鼻垂し小僧の納税が含まれると考えれば、険しい顔をするのをやめて笑顔を向けられるのではないだろうか。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年5月5日