習近平国家主席は火曜日、「一帯一路」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)国際協力サミットフォーラムに出席するため訪中した自民党の二階俊博幹事長と会談し、「中国人の古い友人」と称した。日本側は今回の会談を重視していた。二階氏によると、会談は17分続き、習主席に安倍晋三首相の「熱意のこもった」親書を手渡した。別の報道によると、安倍首相は一部の懸念が解消された場合、日本はアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加の可能性を検討すると表明した。
日本政府の中国への姿勢に、微妙な変化が生じているようだ。一帯一路サミットフォーラムに代表者を派遣し、AIIBに加わる可能性を示唆した。これは安倍政権の中国への友好的な態度と見なされている。それではこの新たな姿勢が生まれた理由とは何だろうか。
これらの調整には、探りを入れる狙いがある。安倍政権は現実的な圧力を受けている。最近、中日関係に影響を及ぼす要素に、新たな動向が見られる。
(一)中米関係が安定している。習主席とトランプ大統領の会談は非常に成功した。米国は台湾海峡や南中国海などで、中国との摩擦を弱めた。トランプ大統領はさらに、朝鮮の核兵器などの問題において、中国の貢献を前向きに評価し、中国との協力を強化する意向を示した。米国は一帯一路サミットフォーラムに代表者を派遣し、在中国米国大使館が一帯一路作業チームになった。これらのすべてが、日本に緊迫感を与えた可能性がある。日本は中国に対する頑なな政策により、孤立することを懸念している。
(二)トランプ大統領が正式にTPP離脱を宣言し、「アジア太平洋リバランス」についても言及しなくなり、日本を困惑させている。日本の対中政策はそれまで、米国のアジア太平洋リバランス戦略とつながりを持っていたが、今や日本は単独で最前線に立たされているようだ。
(三)AIIBと一帯一路の事業が順調に進んでいる。米国が自由貿易とグローバル化に消極的な態度を示すなか、欧州メディアは中国が「リーダーシップ」を発揮することに期待する声をあげている。またAIIBの加盟数は77カ国・地域に達し、米日主導で数十年経営してきたアジア開発銀行(ADB)の67カ国・地域を上回っている。G7のうちAIIBに加盟していないのは米日のみで、日本はこのまま続ければより苦しい状況を強いられると感じている。
日本の中国への心理はまだ調整されていない。中国と戦略的に駆け引きを展開し、アジアの主導権を争奪するという考えは、日本の右翼エリートの心中に深く根ざしている。彼らは今でも中国の台頭という現実を受け入れられず、かつ米国から圧力をかけられる憤りを中日関係に向け、中国との対抗を日本民族の誇りの証明としている。
しかし中日間で絶えず変化するパワーの関係、アジア太平洋の新たな勢力構造がついに効果を発揮した。また歴史などの原則的問題で譲歩せず、また意図的に中日の競争を激化させず、日本の世界における空間を自ら狭めようとしないという、中国の対日政策も非常に安定している。そのため日本が中国に対抗するのは徒労であり、希望のない選択だ。日本側は少し風が吹き草が動いただけで、動揺することを避けられない。
現在の情勢は、安倍政権が中国に強硬な政策を続ける上で不利だ。日本がそうするためには、その実力を手にし、米国を味方につけなければならない。だが今やこの2つの条件は頼りなくなっている。
日本は敗戦後、米国によって軍事的に占領された。現在も日本の国土には、大量の米軍が駐留している。名義上は米日軍事同盟だが、双方は依然として占領する側とされる側だ。日本社会の政治的心理は、長期的にいびつである。中国の台頭への憤り、米国への全面的な屈服の間には一定の矛盾がある。この矛盾は日本人のうっぷんを晴らす一つの手段になっている。
具体的に見ると、日本は中日関係で地政学の小さな問題にこだわっている。さらにこだわり続けようとするならば、自国の戦略を深く反省し、さらに世界的なパワーバランスの変化を利用する必要がある。今やこの歩みは始まりつつあるが、決定的な転換点が訪れるまで、あと一定の距離がある。
中国は中日の対立をコントロールする主導権を握っていることを意識しなければならない。そのため我々は日本側の友好的な姿勢のすべてに積極的に反応し、日本の態度の二転三転にも大げさに驚く必要はない。時間は中国側にあり、完全に自信を持つことができる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年5月17日