東京のPR会社サニーサイドアップは今年2月、毎月最後の金曜日に社員が早目に退勤できる新制度を打ち出した。だが問題は、この福利を進んで受けようとする人がいないこと。同社が正式にこの通知を出しても、オフィスのデスクから離れようとする人はいなかった。BBC中国語サイトが12日伝えた。
「(社員を早目に退勤させることは)日本人のスタイルに合っていない」。同社のグローバル・コミュニケーション部門の服部竜大さんは語る。「日本の職場文化では誰もががんばって仕事をする。仕事時間はとても長く、早目に帰ろうとする人はいない」
この新たな制度は、批判の的ともなっている日本の残業文化をなくそうと政府が2月24日に打ち出した新たな計画に応えるものだった。もともとの計画によると、「プレミアム・フライデー」を毎月一回実施し、社員が午後3時に退勤することを奨励すれば、社員の自由時間が増えて仕事の圧力が軽減するはずだった。だが実際にやってみるとそう簡単にはいかないようだ。
上司が先に帰るべし
火曜日の午後も遅くなった頃、ノグチ・ギアンさんは兵庫県のある医療研究パークの外で、空の弁当箱がいっぱいに積まれたカートを押していた。オフィスを離れて昼食を取る社員らにランチを届けるのが彼女の仕事だ。
「『プレミアム・フライデー』には参加したいが、とても無理」。26歳のノマチさんは、カラフルな弁当箱をバン車両の後部に積みながら語った。「早く退勤するなど根本的にできない」。
もし上司が社員と一緒に早目に退勤してくれれば、彼女もそうするかもしれない。でもそれまでは、タイムカードを押して先に帰ろうとする人はいないだろう。
上智大学のパリッサ・ハギリアン教授(経営学)によると、この考え方は日本人に広く共有されている。日本では残業代があろうとなかろうと、社員は長時間仕事をする。