日本の巨額の出資は、ドゥテルテ大統領の焦眉の急への対応を支えるが、日本側には別の考えがあるようだ。東洋経済オンラインによると、JICAは2016年よりマニラ地下鉄プロジェクトの調査を開始しており、日本の技術を使用することを条件に、低金利融資を提供する計画を立てていた。両国が最終的に合意に至れば、フィリピンのこの注目度の高い大型プロジェクトは、日本の官民共同で実施される。日本の大成建設、清水建設、東京メトロが参与する。
日本経済新聞によると、日本はフィリピンの地下鉄、発電所の建設を支援するため、今後5年間に渡りフィリピンに1兆6700億円のODAを提供し、中国をけん制する。日本の安倍晋三首相は今年初の訪問先にフィリピンを選んだが、これはドゥテルテ大統領との信頼関係を構築するためだった。日本は米国に対抗姿勢をとるフィリピンが、中国に歩み寄ることを懸念している。同記事によると、中国主導の経済圏が拡大を続け、日本はアジア諸国への従来の支援策を調整することで、警戒を維持する。マニラ地下鉄建設の支援を契機に、タイ、ベトナム、ミャンマーなどの鉄道建設への資金援助を強化する。
中国社会科学院日本研究所の盧昊副研究員は、環球時報のインタビューに応じた際に「東南アジアはこれまで、日本のODAの重点的なエリアだった。中国が一帯一路(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)を推進し、沿線諸国のインフラプロジェクトへの投資を推進するなか、日本の中国に対する戦略的競争の意識が高まっている。日本は援助外交を効果的に展開し、日本の同地域における戦略的資産を強化することで、中国経済・政治の影響力を相殺しようとしている。フィリピンを含む東南アジア諸国が現実的な利益に基づき、日本からの投資、それから現地のインフラプロジェクトをめぐる中日の競争を歓迎することは明らかだ。しかし経済援助の規模は、その外交政策の親近感を決める唯一の要素ではない。戦略的立場をめぐり、大国の間で立ち位置のバランスを求めることが、多くの東南アジア諸国の基本的な選択となっている」と指摘した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年6月27日