日本の安倍晋三首相は現地時間5日午後にベルギーに到着し、欧州6カ国歴訪を開始した。今回の訪欧は1週間で、過密スケジュールとなっている。時事通信によると、自民党が東京都議選で「歴史的な大敗」を喫すると、安倍首相は「外交の成果」により不利な流れを変え、政治的存在感をアピールしようとしている。
過密スケジュールが物議に
共同通信によると、安倍首相は現地時間6日午前、北大西洋条約機構(NATO)本部でストルテンベルグ事務総長と会談した。その後欧州理事会のトゥスク議長と定期的な日EU首脳会談を開き、日EU経済連携協定(EPA)ついて大枠合意に達した。午後はドイツ北部ハンブルクの米総領事館で、米国のトランプ大統領、韓国の文在寅大統領と会談した。
現地時間7−8日には、ハンブルクのG20サミットに出席した。安倍首相はその後、スウェーデン、フィンランド、デンマーク、エストニアを訪問する。安倍氏は日本の首相として初めて同4カ国を訪問する。
テレビ朝日によると、安倍首相の政治的手腕にとって、現在の内政も外交も大きな試練となっている。安倍首相は外交により、不利な局面を打開しようとしている。しかし安倍首相の「責任逃れ」を批判する声が強い。自民党は今月10日に衆参両院で加計学園問題をめぐる閉会中審査を開くことに同意している。しかし安倍首相が外遊を理由に欠席するため、党内で動乱が生じ問題が敏感になっている時期に逃げたという印象を与えている。
積極的な外交で支持を取り戻す
自民党の東京都議選の惨敗は安倍政権に重傷を負わせた。フィナンシャル・タイムズによると、東京都知事で元防衛大臣の小池百合子氏が率いる新政党「都民ファーストの会」が勝利を収め、日本の政治の安定的な局面を揺るがした。小池氏が率いる新政党は、日本の首都でリーダーシップを発揮する。これには小池氏が国政選挙で自民党に類似する攻勢をかけるという脅威が隠されている。ラジオ・フランス・アンテルナショナルによると、安倍政権が率いる自民党が東京で敗北したことにより、国政運営と政策の推進に大きな障害物ができた。選挙結果は、安倍政権が支持を失い、下り坂に入ったことを象徴している。
アジア・タイムズの記事によると、安倍首相は4日、「自民党に対する厳しい叱咤と深刻に受け止め、深く反省しなければいけない。政権を奪還したときの初心に立ち返って全力を傾けていく決意だ」と述べた。
中国社会科学院日本研究所外交研究室の呂耀東主任は「安倍政権は外交でポイントを稼ぐことができる。東京都議選の惨敗を受け、安倍首相は欧州歴訪で支持を取り戻そうとしている」と指摘した。日経中文網によると、安倍首相は3日の都議選惨敗後の臨時役員会で、「7月上旬のG20ハンブルク・サミットで、積極的な外交を展開したい」と述べた。
外交学院国際関係研究所の周永生教授はインタビューに応じた際に「安倍首相は政治の話題を作り、有権者と日本メディアの注意を引きつけることに長けている。安倍首相は最近スキャンダルに巻き込まれており、内閣支持率が低下している。東京都議選で、自民党は惨敗した。安倍首相は今回の訪欧で、外交の成績により現在の苦しい流れを変え、国内の悪影響を解消しようとしている。特に日本の首相が北欧諸国を訪問するのは珍しく、先例を作る意義がある」と話した。
政治の先行きは不透明