新経典文化股フン有限公司(フンはにんべんに分)で副編集長を務める黎遙さんは、「『秘密』はミステリーの殻に包まれたラブストーリーだ。この斬新な内容の作品がきっかけとなり、新しい読者層が切り拓かれ、東野氏は一躍人気作家となった。直木賞を受賞した時には、すでに押しも押されもせぬ人気作家だった」と話す。
東野氏の頂点を示す「容疑者Xの献身」は、何ヶ国語にも翻訳され、直木賞と本格ミステリ大賞をダブル受賞した作品だ。主人公は天才数学者・石神哲哉とアパートの隣室に住む花岡靖子。娘と身を寄せ合って暮らしていた靖子は、暴力を振るう元夫を誤って殺してしまい、救いの手をさしのべた石神の指示によって、思いがけないトリックをしかけていく。
東野氏の作品にまったく欠点がないわけではない。豆瓣網でも「『人魚の眠る家』は言いたいことはシンプルなのに、冗長な繰り返しが多く、読んでいて非常につまらなかった」というコメントがみられたり、「東野圭吾の小説は言葉がぶちぶち切れている」と評する人もいる。黎さんは、「これは日本語の表現方法や文章作法と関係がある。日本の作家は1つの出来事の前後関係をはっきり描写することを好むが、東野圭吾の言葉は相対的に簡潔だといえる」との見方を示す。(編集KS)
「人民網日本語版」2017年7月14日