楊樹茂が予想していなかったのは、細菌戦の多くの被害者の訴訟に対して日本政府が見せた、責任をできるだけ回避しようという冷淡な姿勢だった。
細菌戦の被害者は中国人だけでなく、日本人もおり、加害者自身も含まれていた。研究資料によると、731部隊でも少なくとも数十人が細菌感染で異国での死を遂げている。
「須藤良雄は第四部第一課の雇員だったが、ペスト菌の生産で感染し命が危なくなり、細矢技師が実験材料として生体解剖することに決まった」。篠塚良雄の証言はあまりにも恐ろしいものだ。
殺戮に慣れてしまった民族はその害を自分で受けなければならなくなる。可哀想なのは板挟みとなった日本の人民だ。
歴史を前に、自らの罪を前にして、必要なのは、本当の勇気であり、誠実な反省であり、真心からの懺悔だ。
731を題材に『悪魔の飽食』を書いた森村誠一は、他的大きなバスで何度も家を囲まれたりし、毎日防弾チョッキを身に着けて外出していた。金成民は、良識のある日本人による歴史の直視がこうした仕打ちを受けることは、軍国主義の毒がなお残っていることを示している。日本には、これらの犯罪行為が人類の医学に貢献したと論じる人さえいる。
日本滋賀医科大学の西山勝夫教授によると、日本の医学界は戦後ずっと、731部隊の真相を隠そうと目論んできた。審判を受けるべきだった日本の戦犯の中には、政府機関や軍事部門、医療機関、学術機構、大学機関などで要職に就いた人もおり、今も日本社会に影響を与えている。
歴史を改ざんすることは許されない。
喜ぶべきことに、日本NHKテレビのドキュメンタリー『「731部隊」の真相』は日本で強烈な反響を呼び、多くの日本人ネットユーザーが歴史を反省し始め、「戦争は人類を狂わせる。本当に恐ろしい」「生々しい証言が胸に刺さる。残酷な歴史を繰り返させてはいけない」「愚かな真似はやめなければならない。戦争が私たちにどのような教訓を残したか次の世代に伝えなければならない」などの感想を残している。
731部隊動力班跡の3本の巨大な煙突のふもとの残骸を夕日が照らし、エノコログサ一本一本に輝きを与えている。静かに立つその姿は、今の平和と静寂を守っているようだ。だがこの泥土の中にまだ知られていない真相がどれだけ隠れているのだろうか。
「東方のアウシュヴィッツ」の投げかける問いはいつまでも残ったままである。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年9月20日