宮本雄二:変化する世界での日中関係の正しい位置付けを

宮本雄二:変化する世界での日中関係の正しい位置付けを。45年前の1972年、日本と中国が国交正常化という外交成果を実現したのは容易なことではなかった。国交正常化実現のさらに45年前、つまり1927年から45年にわたって日中両国は一貫して戦争・対立の状態にあった…

タグ:国交正常化 45周年 協力 改善

発信時間:2017-12-04 11:04:43 | チャイナネット | 編集者にメールを送る


両国は「知己」になれる


 現在の日中関係の改善にあたっては、いくつかの取り組みの必要性が切迫している。まず、両国はともに努力し、世界の大局を把握し、その中から両国関係の位置付けを見出す必要がある。世界は現在、多極化の方向へと急速に発展しており、これは中国にとって望ましいことと言える。言い換えれば、米国はすでに、一国の力では世界情勢をコントロールできなくなりつつあり、世界は、主要各国が相互に協調し、世界の秩序と平和を共同で維持・発展する時代を迎えたということである。このような時代において、日中両国には当然、協力が求められる。科学技術の発展は戦争の破壊力を高めている。戦争の代価はあまりにも大きく、大国間で戦争が再び起こることは許されない。このため日中関係には「平和、協力、友好」という選択しか残されてはいない。


 次に、中国の習近平国家主席は「人類運命共同体」を呼びかけ、周辺国家と「親、誠、恵、容」の関係を構築することを訴えている。日中両国はこの目標と精神を具体的な原則と規範へと反映させ、この原則と規範の実施をいかに確保するかをともに思考する必要がある。互いの良好なイメージを構築し、良好なムードを広げていかなければならない。

 日本は、世界の大国として再び登場しつつある中国の決意と心情とを理解しなければならない。日本は、中国の影響力が徐々に拡大している事実を尊重し、まったく新しい中国を日本のパートナーとしなければならない。中国も、日本が依然としてアジアの大国であり、アジアさらには世界の未来における重要なパートナーであることを正しく認識する必要がある。相手を正しく理解することにより、協力関係の正しい構築を後押しすることができる。


 日本の「知中派」の政治家は高齢化しており、日本の若い世代の間では、中国を理解する意欲を持ち、対中関係の発展に熱心な人が多いとは言えない。このことも両国関係の発展には少なからぬ影響を及ぼすだろう。そうなれば両国民はますます互いを知らなくなり、負の情報にますます簡単に踊らされることになる。このため両国の若者の間の交流を増やし、相手の状況に熟知した「知中派」と「知日派」を育てることが、喫緊の課題となる。中国に対する日本側の好感度や認識の低下という問題はすみやかに解決しなければならない。


 両国は、互いに対する若者の関心をいかに高めるかを考え、具体的な案を出さなければならない。旅行や留学などは、日中両国の人びととりわけ若者らが直接交流する機会をより多く作り出す手段となる。両国民が固定観念を捨て、直接相手に会い、自分の目で観察し、自分の頭で考えることによってこそ、互いの真の姿を知ることができる。普通の日本人と普通の中国人の姿がメディアでより頻繁に紹介されれば、互いに対する親しみを高めることもできるだろう。直接的な交流が増えれば、両国の若者はきっと友人となることができる。未来を背負うのは若者であり、彼らの交流は極めて重要となる。中国人と半世紀近くにわたって交流して来た私は、両国国民は必ず互いにとっての「知己」となることができると信じている。(文:宮本雄二。日本日中関係学会会長、元駐中国日本国大使)


「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年12月4日

1  2  3  


TwitterFacebookを加えれば、チャイナネットと交流することができます。
中国網アプリをダウンロード

日本人フルタイムスタッフ募集    中国人編集者募集
「中国網日本語版(チャイナネット)」の記事の無断転用を禁じます。問い合わせはzy@china.org.cnまで