14年12月、東京大学の研究グループの11人が論文33本でデータ捏造などの不正を行っていたことが発覚。15年3月には、熊本大学教授の研究チームが論文9本で画像流用などの捏造を行っていたことが判明し、16年には筑波大准教授が論文2本で第三者の文章を盗用していたことが分かった。さらに、17年8月には、東京大学の著名な細胞生物学者・渡辺嘉典教授が論文5本で図表や画像の捏造、改ざんを行っていたことが判明した。
一連の不正により、日本の科学研究界のメンツは丸つぶれ。関係者にも厳しい処分が科されている。それでも、巨大な利益という誘惑やプレッシャーがあるため、不正を根絶するのは依然として難しい状況が続いている。
中国北京呈源医学科技有限公司の最高経営責任者(CEO)で、京都大学iPS細胞研究所の元特別研究員の高飛氏は今回の論文不正事件について、「STAP細胞をめぐる不正事件発生以降、この種の問題にみんな敏感になった。このような不正は二度と起こらないものだと思っていたのに、また起きてしまい、しかもそれが京都大学の問題とは」と驚きを隠せない。
そして、「科学研究を行っている人は皆、良いデータが欲しい。そして、自分の力で、自分の仮説を証明したいものだ。しかし、細胞の実験は非常に難しく、特に研究が進むにつれ、いろんな問題が出てくる。そして、結果を焦って求めるあまり、小手先に頼ってしまう人が出てくる。その他、任期付研究員の場合、任期内に成果が出ないと、大きなプレッシャーにさらされる」と分析している。
iPS細胞技術の産業化に取り組む日本のIDファーマの朱亜峰取締役社長は、「不正を行う研究者の道徳的問題は昔から存在しており、近年になって情報がリアルタイムに公開されるようになり、多くの人が知ることができるようになっただけ。今回の不正問題は、STAP細胞をめぐる不正問題と実質的に同じ問題だ。しかし、iPS細胞技術そのものには問題ない」との見方を示した。
そして、「今回、京都大学は、ノーベル賞受賞者である山中教授のメンツを守ることを優先するのではなく、不正をめぐる調査結果をすぐに公表し、不正を非難した。山中教授も公の場で自ら謝罪し、不正を隠そうとはしなかった。この点は非常に評価できる」と指摘した。(編集KN)
「人民網日本語版」2018年1月26日