日本の防衛産業の根幹むしばむ
日本はこれまで、極めて高いコストを支払ってでも、自主防衛産業の発展に取り組んできた。例えば陸上自衛隊の戦車と装甲車の分野では、日本は1960年代から70年代にはすでに自主開発を始めた。日本の配備する90式主力戦車や87式自走高射機関砲などの価格は世界の類似製品をはるかに上回るが、日本はこれによって、現代の主要な陸戦装備の開発と生産の能力を掌握した。航空装備の分野でも状況は似ている。米国はすでにF-35Aステルス戦闘機の日本への輸出を認可しているが、防衛省は、ステルス戦闘機で時代に取り残されないようにするため、さまざまな反対意見にもかかわらず、技術実証機「心神」の開発を依然として推進している。そうした絶え間ない蓄積があったからこそ、日本は、先進的なミサイルや航空電子などの分野の技術成果によって、米国や英国などの軍事強国にも強い印象を与えてきた。
だが現在、こうした努力は深刻な衝撃を受けている。防衛予算の制限から、日本のF-35A調達後、「心神」プロジェクトは中断を迫られた。さらにひどいことに、防衛省はF-35Aの調達にあたって、組立生産を日本が担当することでせめて一部技術を掌握しようとしていたが、2017年9月、日本会計検察院は防衛装備庁に対し、日本が獲得したステルス戦闘機F-35Aに採用されるはずだった国産部品が搭載されていないとの警告を発している。
『日本経済新聞』によると、「対外有償軍事援助」は今後も増え続ける可能性がある日本は2019年以降に2基の「イージス・アショア」を導入することにしており、その費用は1基当たり約1000億円にのぼる。高性能のレーダーを搭載すれば、その金額はさらに高まることとなる。日本の防衛産業の市場規模は現在、約1兆8千億円だが、「対外有償軍事援助」方式を採用して米国からの装備調達を拡大していることで、輸入武器の占める割合は高まり続け、日本の国内防衛産業のシェアは縮小している。自衛隊は一見、最先端の装備を獲得したように見えるが、日本が最も重視している防衛産業の根幹がむしばまれている。