駐豪大使指名の理由
米軍太平洋軍司令官の職は任期3年で、1期しか務めることはできない。このため規定によれば、ハリスの任期は2018年中頃に満了となる。トランプがハリスを駐豪大使に指名したがっているという情報は昨年9月から伝わり始めていた。アナリストは、この指名の人選結果は意外なものではなかったと指摘する。
第一に、ハリスの米駐豪大使指名は、トランプ就任後に緊張が高まっている米豪関係を有効に改善するものとなる。
トランプ大統領は就任すぐ、オーストラリアのターンブル首相と電話で階段した際、両国政府がすでに達成していた難民の受け入れに関する合意について不満を示し、「史上最悪の合意」だと批判し、1時間の予定だった通話は25分で打ち切られた。このほか「米国第一」というスローガンを掲げたトランプ大統領は就任後ただちに、オーストラリアも参加していた環太平洋戦略的経済連携協定からの離脱を宣言し、オーストラリアなどの同盟国やパートナーとの貿易面での距離を縮めることなく、逆に引き離した。
豪メディアの報道によると、ハリスは太平洋軍司令官として何度もオーストラリアを訪れ、豪政権の主要閣僚や軍事・外交の高官もよく知っている。トランプによるハリスの米駐豪大使指名のねらいは、豪政府に対し、自分は決して薄情なのではなく、美豪関係を重視しているのだと伝えることにある。
第二に、トランプ政権は最近、日米豪印4カ国を軸とした軍事・安全協力ネットワークの構築をはかり、インド太平洋地域の安全秩序をリードしようとしている。アジア太平洋地域に詳しいハリスをこの時期に駐豪大使に指名したのには、こうした意図があるのも間違いない。
第三に、アジア太平洋地域に悪い影響ばかりを残したハリスだが、その指名は、トランプ政権の「軍事政権化」という傾向に合致している。このまま行けば、ハリスは、武官から文官となったタカ派的立場を持つまた新たな退役将校となる見通しだ。
各界の人々からはすでに、軍人の重用というトランプの傾向に懸念が示されてきた。米統合参謀本部元議長のマイケル・マレンはメディアに対し、「(トランプ)政権の軍事化」を懸念していると直接的な言葉で語っている。
アナリストは、アジア太平洋地域の平和と安定を軍人として乱し続けたハリスをトランプが駐豪大使に指名したことは、アジア太平洋地域の今後の平和と安定にさらなる懸念を抱かせざるを得ないものだと指摘している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年2月12日