日本メディアによると、3月に行われた日本全国企業短期経済観測調査(短観)では、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)が2年ぶりに悪化した。原油価格の上昇や円高、株式市場の軟調などの影響のほか、トランプ政権の保護主義的な貿易政策などによる不確定性も、企業の景気見通しを引き下げ始めている。経済の良性の循環の実現をねらった「アベノミクス」にも黄色信号がともっている。
「産経新聞」の3日付けの記事(「3月短観、アベノミクスに黄信号」)によると、大企業製造業のうち景況感が明らかに悪化しているのは、化学や鉄鋼、非鉄金属などの素材業種。原油などの資源価格の上昇が企業の心理に影響した。素材業種では、仕入れ価格が「上昇」と答えた割合は昨年12月の前回調査より12ポイント増加した一方、販売価格の「上昇」は4ポイント増にとどまり、企業が価格を通じてコストを転嫁できない状況が浮き彫りとなった。
記事によると、企業の慎重な態度を生んだ大きな原因の一つは、年初から続く円高。3月末には1ドル104円台をつけ、現在も106円台で推移している。大規模な量的緩和を続ける日本銀行に対し、米連邦準備制度理事会(FRB)はすでに金利を引き上げ、金融政策の正常化を進めている。一般的に、資本は低金利の国から高金利の国に流れるとされ、円安になるのが普通だが、実際の状況はこれとは異なる。