日本メディアは、中国の王毅国務委員兼外交部長の訪日、中日の経済ハイレベル対話の再開に伴い、中日間の経済協力が新たな局面を迎え、中日が関係改善に向け積極的な一歩を踏み出したと判断している。
中日の「雪解け」
17日付読売新聞は「日中双方は、真の関係改善に向けハイレベル協議を継続せよ」と題した社説を掲載した。要旨は下記の通り。
関係改善の機運を生かし、実務的な協力を着実に積み重ね、信頼醸成を図ることが大切だ。中日双方が真摯に努力しなければならない。
安倍首相が、来日した中国の王毅国務委員兼外交部長と会談した。首相は「さまざまな分野で関係を発展させていく」と語り、王部長は「中日関係を改善し安定させれば、双方はより緊密な交流と広範な協力を展開できる」と応じた。
首脳外交は今後、活発化する見通しだ。5月の中日韓首脳会談で李克強総理が初来日する。その後、さらなるハイレベル交流が予想される。
釣魚島(日本名・尖閣諸島)をめぐる問題などを適切に処理するためには、首脳同士の信頼構築が欠かせない。今年は中日平和友好条約締結40年にあたる。戦略的互恵関係の原点に立ち返り、具体的な協力の成果を上げることが重要だ。
外相会談では、気候変動やテロ対策などの実務レベルの協議を加速させることで合意した。
17日付毎日新聞は「日中経済界、両国関係の雪解けを歓迎」と題した記事を掲載した。要旨は下記の通り。
日本と中国が8年ぶりにハイレベル経済対話を再開したことで、中日間の経済協力は新たな局面に入った。日本政府が2012年に釣魚島を国有化して以降、政府間の関係が冷え込んだことが、民間企業のビジネス戦略の障害となっていた。中日の経済界からは政治の「雪解け」を歓迎する声が上がっている。
中国の経済圏は拡大を続けており、「一帯一路」はその勢いを象徴する。中国は今回の経済対話再開をテコにアジアでのインフラ整備などに日本を引き込み、「一帯一路」の求心力を高めたい考えだ。
人口減少も背景に経済力を低下させている日本が、自力で経済拡大を続ける中国に真正面から対抗するのは難しく、アジアの成長促進につながるインフラ整備では、中国と組めるところは組む現実的な対応が必要になっている。
対話再開について、日本の経済界では「今の中国の世界経済への影響力は8年前と比べものにならないほど強大。政府間で対話できるようになったのは、経済協力拡大への前向きな一歩だ」などと歓迎する声が多い。