派閥政治は日本の政界の非常に鮮明な特徴だ。これは長年に渡り政権運営を維持している自民党内ではより顕著になっている。自民党の派閥政治は、「カネと権利」を使った政治的駆け引きの「諸悪の根源」とされている。過去を振り返ると、日本政界の権力の駆け引きでは、派閥間の「投票操作」、「権益分配」が何度も演じられていた。日本の政局は現在不安定になっているが、自民党内では総裁選をめぐり、利益の最大化を目指す派閥による活動が再び活発化している。
しぶとく残る派閥政治
自民党の派閥の形成は、衆院選の中選挙区制による影響を受けた。党内では徐々に、5大派閥が形成された。政治環境の変化を経験しながらも、現在も存在し続けている。党内の派閥は当時、自身の実力に基づき、政党の資金や人事権の分配などで決定的な力を発揮していた。日本が小選挙区と比例代表による選挙制度を開始すると、派閥の生存環境に大きな変化が生じた。
特に小泉純一郎氏は首相就任時に「派閥政治打倒」を掲げ、自民党の体制改革に新風を吹き込んだ。自民党の派閥はそれまで、党内及び政府の人事、政治活動資金の調達、政策の研究といった役割を果たしていた。日本の選挙制度改革、数回の小選挙区選挙と小泉氏の首相就任に伴い、党内の派閥が独自で政治活動資金を調達する能力が低下した。閣僚と党内の人事も、従来の派閥推薦をなぞらなくなった。資金調達と人事の役割を持たない派閥政治は、境界線が日増しにあいまいになっていった。政策研究の機能も、主に党の政務調査会が担当するようになった。派閥が単独で行動する能力が低下を続け、派閥を跨ぐ政策研究活動が増加した。
ところが伝統と既得権益の影響により、自民党の派閥政治はしぶとく残り、大きな生命力を維持している。例えば当時の田中(角栄)派は会長の交代により、竹下(登)派、小渕派、橋本派、額賀派と変わり、4月19日には竹下(亘)派に変わった。
7大派閥、最大は「細田派」
派閥は自民党内で「群」と呼ばれている。また一部の研究者は、自民党は一つの政党ではなく、「派閥と呼ばれる複数の政党が集まる長期連立政権」と判断している。この連立政権とは実際には真の政権ではなく、政治組織のことだ。この政治組織は、政策もしくは主張の近い複数の政党が協力して統一的な政策を打ち出し、連立政権という形式で国会を支配することで政策目標を実現し、政治活動を展開する。ところが自民党の党則には、派閥の規定が存在しない。
派閥政治は日本で批判を浴び続けている。会長が派閥内のメンバーに政治資金やキャリア発展の援助を行い、「投票操作」や「票の支配」を引き起こしていたからだ。派閥政治は「カネと権利の政治」の温床になった。
数十年の発展を経て、自民党内には現在、細田派、麻生派、竹下派、岸田派、二階派、石破派、石原派の7大派閥が形成されている。うち最大の勢力を誇るのは、安倍晋三首相が所属する細田派で、96人の議員を擁する。さらに安倍氏という党総裁がいるため、大きな実力を持つ。2位は麻生派(60人)、3位は竹下派(55人)で、4位以下は岸田派(47人)、二階派(44人)、石破派(20人)、石原派(14人)。
総裁選を控え不穏な動き
総裁選が迫り、派閥の不穏な動きが続いている。派閥内から有力な候補者を出せないことから、額賀派は内部の団結を維持するため、派閥の会長の交代を迫られた。竹下登氏の弟、竹下亘氏が会長に就任した。しかし派閥内では、岸田氏と石破氏のどちらを支持するかをめぐり、意見が分かれている。
3年に1度の総裁選を控え、石破派は早くも準備を開始している。石破茂氏も総裁選に強い出馬意欲を示している。石破派はさらに自身の政策綱要を発表し、改憲問題で安倍首相と異なる政策主張を掲げ、派閥を跨ぐ政策勉強会を再開している。
安倍首相が総裁の座を「禅譲」することを夢見ている岸田文雄氏は、総裁選をめぐりあいまいかつ慎重な態度を示している。「禅譲」の可能性がないと見ると、岸田氏はついに出馬の意欲を示した。情報によると、河野太郎外相、小泉進次郎筆頭副幹事長は、今回の総裁選への出馬に消極的で、次の総裁選に焦点を絞っている。しかしその所属派閥内からは、今回出馬しなければ次のチャンスはないと焦る声も聞かれている。
二階俊博幹事長は二階派の会長で、自身の影響力を強化するため安倍首相の支持を続けてきた。「安倍晋三首相の後も安倍氏だ」と述べ、安倍首相の党総裁続投を支持している。(筆者・劉洪亮)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年5月3日