大衆迎合の友好、何をもたらしたか
オバマ氏やブッシュ氏などの歴代大統領と比べ、現職のトランプ氏の日本への態度は消極的だ。しかし安倍氏との交流については、米日関係の「蜜月」と形容されることが多い。
この「蜜月」は何をもたらしたのだろうか。米ニュースメディア「ポリティコ」は記事の中で「安倍氏の友人から免除を拒否され、日本政府と企業はショックを受けている。またトランプ氏がTPPをめぐり態度を二転三転させていることからもショックを受けている……(中略)……トランプ氏はカナダやメキシコなどの関税を免除しているが、最も親しい友人の安倍氏は何も手にしていない」と指摘した。
安倍氏が当初より、トランプ大統領との密接な関係構築に賭けていたと分析する声も少なくない。米Foreign Policy誌は、この取り組みは効果を発揮したようだと伝えた。安倍氏は米大統領の当選後に初めて会談した外国首脳となり、2度目の訪米ではトランプ氏とゴルフをプレイした。これは他国に深い印象を与えている。ある専門家は「少なくとも欧州諸国の首脳1人が、安倍氏にならっている。しかしこの成功には陰りも出ている。トランプ氏は日本を迂回し朝鮮と直接会談に臨み、さらに鉄鋼・アルミ製品の関税で多くの同盟国を免除としたが、その中に日本だけが含まれなかった」と話した。
一部の日本メディアは、EUとその他の国が米国からの不当な要求に対して直ちに対抗措置を講じる姿勢を示したが、安倍政権だけが弱腰で遺憾の意を伝え、「日本の鉄鋼・アルミ製品の輸出が米国の国家安全に影響を及ぼすことはない」と訴え続けるに留まっていると伝えた。日本政府はさらに問題解決の希望を、安倍氏とトランプ氏の「関係」に寄せている。米国政府には日本を免除対象にすることを支持する人物がいるが、最終的に決断を下すトランプ氏が日本に配慮していない。
九州大学の専門家は「米国にとっての日本とは、真のパートナーやトモダチであったことはなく、常に子分だ。政治と軍事のどちらから見ても、日本は米国の属国や保護国だ。この関係は首脳の交流に直接反映されている。以前の米大統領は日本の顔を立て、形式的な尊重を示していた。しかしトランプ氏が日本に嘘くさい芝居をすることはなく、高圧的に呼びかけることが正常になっている」と述べた。
近藤大介氏は環球時報の記者に対して「安倍氏はトランプ氏を友人と思っているが、トランプ氏もそう思っているとは限らない。トランプ氏にとって、安倍氏は利用できる存在だ。トランプ氏はよく小をもって大を脅かすという戦術を使っている。つまり小国(日本)を利用し、大国(中国)に圧力をかけることを得意としている」と指摘した。
日本メディアの間でも、反省の声が聞かれるようになった。ジャパン・タイムズは「日本は対米戦略の見直しが必要か」と題した記事の中で「日本は理論上、米国の東アジアにおける最も忠実な同盟国だ。この関係は両国首脳のプライベートな関係に支えられ、彼らのゴルフという共通の趣味によって固められている。しかし大衆迎合の友好はいかなる実質的なメリットももたらしていない。朝鮮問題で日本が疎んじられる懸念が強まり、対米貿易政策の懸念が深まり、日本は重要な局面を迎えている」と報じた。
現代ビジネスは「米国は経済面で日本を同盟国と見なしていないが、日本政府はこの現実を直視する必要がある。トランプ氏が米国ファーストを唱えるなか、日本は米国の意見と異なっても、WTOルールに基づき断固たる姿勢で国益を守るべき時期を迎えている」と論じた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年5月22日