ZTE制裁問題後、国内では「中国製」(メイド・イン・チャイナ)の水準を疑問視する人が出てきた。そのうちの一部は、かつての支持者だ。それでは、我々は中国製が現在、世界で置かれている地位をいかに見据えるべきなのだろうか。
製造業の付加価値額で、中国はすでに世界一になっている。世界銀行のデータによると、2015年の世界製造業生産額は12兆1570億ドルで、うち中国が3兆2500億ドルで26.7%を占めた。米国は17.62%で世界2位、日本は7.34%で世界3位。また中国の1人平均製造業付加価値額は、主要発展途上国を大幅に上回っている。メキシコは中国の68.3%、ロシアは49.7%、ブラジルは37.2%、インドは10.1%、インドネシアは29.4%、トルコは77%。これは中国の製造業の総合水準がすでに、発展途上国の水準を大幅に上回っていることを意味する。
先進的な製造業強国と比べ、中国にいま不足しているのはハイエンド製造能力だ。中国の製造業付加価値額は2015年に世界の26.7%を占めたが、全体的に見るとロー・ミドルエンドと一部のハイエンドとなっている。米日独の製造業付加価値額は世界の30.5%を占めているが、ミドル・ハイエンドに集中している。
しかし我々は中国製の未来に自信を持たなければならない。理由は次の通り。
(一)中国には特大規模集中製造の能力がある。大量生産能力、世界最大の単一市場の強みにより、中国はハイエンド製造分野で技術進展を実現できれば、大量生産を通じ徐々にコストを削減できる。ミドル・ローエンド製造の世界市場に占めるシェアを完全に複製できる。
(二)中国の研究開発費が拡大を続けている。中国の2017年の研究開発費は前年比11.6%増の1兆7500億元で、日本やドイツを大きく上回り、米国に続いた。研究開発費がGDPに占める割合は2.12%で、EU15カ国の水準を上回った。
(三)中国製は「点」から始まり、すでに産業チェーンと生態を形成している。産業チェーンと生態の形成及び改善は、中国がハイエンド製造に進撃する能力を大幅に強化する。
最も重要なのは、中国製のハイエンド化を実現するために、政府と企業の協力が必要なことだ。次の2つの分野において、企業が問題を自主解決する能力が低い。まずは長期的かつ持続的な高額の資本注入を必要とし、技術の研究開発が極めて困難な分野だ。典型的なのはディスプレイ、集積回路の製造で、支出が100億ドルにのぼることもよくある。しかりこれらの分野は往々にして広い市場を持ち、国から重視されやすい。
次に市場規模が小さく、進出のハードルが高い分野だ。企業は投入産出比率が低いため、この分野に投資しようとせず、また市場規模が小さいため軽視されやすい。しかしこれらの分野は非常に重要で、ZTEのような輸出規制が発生すれば、産業チェーン全体が麻痺しかねない。これらの分野には、ハイエンド製造のさまざまな盲点が含まれ、政府と企業が一丸となって補い、中国製をハイエンド分野でさらに強くする必要がある。(筆者・寧南山 財政・経済コメンテーター)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年5月27日