日本の若者、これまでも南京市の介護施設で交流活動を行っていた。
中日学生手話交流会の日本人留学生10人が5月中下旬、南京市聴覚障害者学校で交流活動を行った。彼らは中国の手話で中国の歌をうたい、日本の伝統舞踊を披露した。これは青少年が発起した民間草の根交流活動で、今年ですでに10年目を迎える。1年目に汶川地震の被災地を訪問したが、それ以外の年は固定的に南京を訪問している。現地の聴覚障害を持つ学生と交流し、侵華日軍南京大屠殺遭難同胞紀念館(南京大虐殺紀念館)を訪問している。
なぜ南京なのだろうか。中日学生手話交流会執行委員長の藤田安彦氏は、環球時報のインタビューに応じた際に「日中関係は南京に始まり、両国の心のしこりを解消できるのは南京だけだ。歴史の真相とは何だろうか。日本の若者は南京を訪れ、この問題について考えるべきだ」と話した。
活動で日本人学生に介護施設を訪問させると、藤田氏は感慨ひとしおだった。南京の介護施設で暮らす多くの人が、親戚や友人が南京大虐殺で日本軍の魔の手にかかった。日本人学生が訪問に来ると聞いたとき、施設の高齢者らは「絶対に会わない」という反応を示した。また日本の若者も尻込みした。何度も連絡した結果、善良な中国の高齢者は最終的に、彼ら日本の若者に上演の機会を与えた。上演後、多くの高齢者が涙を流し「若者に罪はなく、平和を惜しむべきだ」と話した。
南京大虐殺紀念館の見学は、日本人留学生にとっても忘れがたい経験だ。中日学生手話交流会の北京チーム責任者の宮崎結希さんは、環球時報に対して次のように話した。彼女は以前見学した時のことを、昨日のことのように覚えている。入館前に、宮崎さんと友人は日本語で話をしていたが、近くにいた女の子はそれを耳にし、母に「あの人たちは日本人? 人を殺すの?」と聞いた。宮崎さんは「私はショックを受けた。中国の子供の日本人に対する印象が、今日になってもこれほど悪いとは」と話した。「私はこれで中日青少年間交流の重要性をより深く意識した。特に日本の若者は先にこの一歩を踏み出すべきだ」
早稲田大学から北京大学に留学している日本人の渡辺愛理さんは今年5月、南京大虐殺紀念館を再び訪問した。彼女は環球時報に対して次のように話した。昨年見学した時には、記念館側が見学者に「軍国主義国だった日本」と「現在の日本」を区別させようとしていないように感じた。しかしもう一度訪問すると、「今後の中日友好のために」といった文言があり、嬉しく思ったという。初めて南京大虐殺紀念館を見学した北京大学の交換留学生の戸島毬絵さんも記者に「日中関係の改善を感じることができた」と話した。展示には、日本で聞いていたような「反日感情を煽る」内容がなかったからだ。
宮崎さんは、日本国内では南京大虐殺の被害者の数を疑問視する人がいるが、記念館の詳細な史料と当時の日本の報道を見ると、「どれほど数字を争おうと、無数の中国人が殺害されたのは紛れもない事実であり、重要なのはこの点だ」という。しかし宮崎さんは、両国が戦後署名した前向きな文書は、南京大虐殺記念館でも取り上げられるべきだと考えている。さもなければ見学者の心に「日本への憎しみ」を残すばかりだという。
その他の日本人学生も記者に、記念館が「憎しみ」ばかりを強調することを望まないと話した。しかしながら記者は彼ら日本の若者の、歴史を率直に誠意をもって見つめる態度に慰められた。藤田氏が「今は若者の時代だ」と話した通りだ。