『日本経済新聞』は6月4日、日産自動車が業績面で苦境に陥っていると伝えた。同社は5月、2018年度(2019年3月締め)の営業利益は前年比6%減、3年連続の減少になる見通しだと発表した。北米市場における苦戦と円高が利益に影響を及ぼした。主要業務の利益能力を示す営業利益率はわずか4.5%で、2022年度(2023年3月締め)までの中期経営計画で打ち出した目標(8%)と大きな差がある。問題が重なる中、日産は純電気自動車(EV)ブームの中国市場に期待を寄せている。
日産の西川広人社長兼CEOは財務報告説明会で、「詳細は発表していないが、中国合弁会社の純電気自動車販売台数は前年比3倍の2万3000台に達した」と述べた。米国での売上減速、フランスのルノーとの資本関係見直しなどの問題がある中、西川氏は中国市場を楽観視している。2017年度(2018年3月締め)の中国市場営業利益は前年比約2割増の1700億円に達した。この数字は、約2000億円に3割近く減少した北米市場に迫っている。
日産は2018年度、中国市場の開拓に力を入れる。同社は中国市場向けに電気自動車「シルフィ ゼロ・エミッション」を発売し、日本で発売された新型「リーフ」も販売する予定。西川社長は、純電気自動車の販売台数を倍にすると意気込んでいる。自動車メーカーの競争が激しい北米市場と比べて、中国市場はインセンティブなどの負担が少なく、一定の利益を計上できると見られる。また、中国市場の高級車販売台数も増加しており、日産の業績の牽引役になる可能性がある。
また日産は、2022年までに中国販売台数(ガソリン車含む)を17年度比で100万台(7割)増の260万台にするという野心に溢れた計画も打ち出している。日産は20車種以上の電気自動車とハイブリッドカーを販売し、その販売台数は全体の3割を占める見通し。
中国は純電気自動車の最大の市場になっている。2025年の電気自動車の市場規模は17年の約10倍の700万台になる見通し。日産にとって、中国市場は海外最大の利益源になる可能性がある。
しかし、中国市場を盲目的に楽観視してもいけない。4月下旬に開かれた北京モーターショーに、ドイツのフォルクスワーゲンやトヨタなどの世界の大手自動車メーカーが集結し、競争は激化している。それだけでなく、現地の大手メーカーの北京汽車集団は中国市場での電気自動車事業の強化を発表し、日産には多くのライバルがいる。
ある大手メーカーの役員は、「都市では中国でしか見ないブランドのマークをつけた純電気自動車を目にする」と話す。中国のベンチャー企業は低価格の純電気自動車を発売し、若者から人気を集めている。また、中国は外資の規制を緩和し、中国市場に進出する外資メーカーも増えることが予想され、需給の不均衡が懸念される。
日産は中国を中長期的な成長の柱にしたいと考える。しかし、多くのベンチャー企業が参入した戦いに勝てなければ、営業利益8%の長期目標の達成は難しい。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018年6月10日