日本の「政官関係」、変化によって生じた問題

日本の「政官関係」、変化によって生じた問題。

タグ:日本 政官関係

発信時間:2018-07-06 10:48:56 | チャイナネット | 編集者にメールを送る


 日本の「官僚」とは国家公務員のことで、独立、清廉潔白、プロ、効率といったイメージを与える。しかしこのほど安倍内閣のスキャンダルが相次ぎ、彼らのイメージに変化が生じている。日本の「政官関係」にねじれが生じ、官僚は国や社会の「安定器」から汚職政治家の仲間になっている。その変化については深く思考する価値がある。


 まず「政官分離」から官僚主導への変化だ。日本は歴史的に「大化の改新」後、全面的に隋唐の政治制度を導入し、徐々に貴族制を形成していった。明治維新後、日本は岩倉使節団を欧米に派遣し、ビスマルクの手法を参考にした。軍隊と産業の支配を重視し、官僚チームを強化し、近代の行政機関を設立した。第二次大戦後は政務と事務を切り離す原則を採用した。政党の政治家は選挙によって生まれる、政治の実際の主導者となった。彼らは大臣や政務官になり、政策の成否に政治的責任を持つ。官僚は試験で選ばれる、政策の形成と実行の主体だ。彼らは最高まで上り詰めると政務官の助手である事務次官になり、政策の成否に対しては法律と業績上の責任しか負わない。


 より重要なのは、官僚が政治的に中立を保ち、いかなる政党や政治勢力にも依存しないということだ。これは事務官と政務官の本質的な差だ。大臣は選挙の結果や政局の変化によって頻繁に変わるが、官僚は高い安定性を持つ。そのため「鉄の官僚、水の大臣」と呼ばれる。その結果、議員や大臣は表面的に官僚を指導しているようだが、実際には官僚の傀儡になり、日本特有の「官僚主導」現象を生じさせる。国政選挙が形骸化し、大臣の主な仕事は官僚が作った文書にサインすることになっている。


 次に、官僚主導から「政官合一」だ。「政官分離」は本来、議員・大臣とプロの官僚が相互制約する仕組みだが、日本では議員が選挙に専念し政務を疎かにするため、官僚が行政事務の主導者になっている。議員は官僚に依存し、官僚は議員を政治的に利用する。両者が利益の共同体を形成し、与党は必然的に官僚を融合する。


 この点に関しては、長期的に政権を握っている自民党を見ると分かる。自民党は長年に渡り官僚と協力しており、両者の政策・人事の意思疎通と流動が頻繁になっている。自民党の意向が官僚によって実行され、官僚の意向も自民党の政権運営によって実現される。特に自民党の議員の中には官僚出身(官僚を辞職後、選挙で議員になる)が多い。吉田茂、岸信介、佐藤栄作、福田赳夫、大平正芳らは官僚出身だ。統計データによると、自民党議員のうち約半数が官僚出身だ。そのため自民党はある意味官僚の党と言える。さらに財界からの進出があり、日本では事実上「政官財」という鉄のトライアングルが形成され、相互に利益を交換している。有権者はこの現象を忌み嫌っている。


 それから、「政官合一」から「政高官低」だ。前者は鉄のトライアングルの一部で、官僚の主導により官僚主義と政治家の無能が避けがたい。そのため官僚に反対する世論と勢力が生まれる。民主党は政権運営中、「脱官僚」に取り組み、内閣主導とした。ところが釣魚島での漁船衝突事件、東日本大震災において、官僚が消極的かつ怠慢になった。複雑な外交と天災を前にし、政治家と官僚の意思疎通と協力が不足し、民主党内閣は為す術を失った。官僚は民主党を笑い者にしたく、国と国民の利益を顧みず、民主党政権を崩壊に至らしめた。


 安倍政権は発足後、内閣府に内閣人事局を設立し、各部門の要職を首相が直接任命すると規定した。600人以上の局長は自分の出世を考え、安倍氏の意向に逆らえず、さらには忖度するようになった。文部科学省の前川喜平前事務次官の加計学園問題に関する「首相が言いにくいことを代わりにやる」という発言は、この現象の理解を促す。「忖度」は国民から批判され、官僚が安倍内閣に支配され、政官関係に逆転が生じたことを反映している。安倍氏は官僚の支持を利用し集団的自衛権の行使を容認し、安保関連法案を可決し、憲法改正を目指している。


 全体的に見ると、日本の官僚チームは各種エリートを集めており、確かな専門知識を持つ。政局がどのように変化しようとも、官僚は安定を維持する。彼らは社会の「安定器」だ。官僚主導には弊害があるが、「政高官低」も官僚を無作為にし、独立性を失わせる。過激な政治家が独断専行し、バランスを失う。いかに正常な状態に戻し、政治家と官僚にそれぞれの職責を果たさせ、ぐるになったり相手の足場を崩そうとするのではなく相互けん制させることが、日本の官僚制度が今後の変化で直面する問題になる(筆者・廉徳瑰 上海外国語大学中日韓協力研究センター執行主任)。


「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年7月6日



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