麗澤大学特任教授 三潴 正道
「神農氏の他に中国ではどんな神様がいるの?」
「たくさーん」
「日本では古事記や日本書紀から神様の話が始まるの」
「そうだね。中国にも神話はあるよ」
「ふーん、どの本を読んだらいいの?」
「そこが問題なんだよね。この一冊っていうのがないんだ」
「えっ、神話の本がないの?」
「そういうわけじゃなくて、色々な古い本に点在しているんだよ」
「まとまってないのね」
「いや、例えば、司馬遷の書いた『史記』を読めば、天地がどう作られたから書いてある」
「あるじゃない!」
「でもそれが全てじゃないんだよね。いろんな古書にいろんな記載がある」
「そうなんだ」
「有名な聞一多なんかがそれを研究し始めて、袁珂が1950年代頃にそれを集大成したんだ」
「結構新しいのね」
「中国文化って複合文化でしょ。神話も入り混じっているのさ」
「なるほどね。で、この天地はどうやって作られたの?」
「中国人の子どもが小さいとき必ず読む三つのお話がある」
「桃太郎に金太郎に浦島太郎、ってわけね」
「それは民話、僕の言ってるのは神話!」
「茶化してごめんなさい。で?」
「盤古の天地開闢神話、女媧の人づくり神話、それに禹の治水」
「どんな話?」
「『史記」に書いてあるよ。自分で読んだら?』
「ケチ!ちょっとくらい話してくれてもいいんじゃない?」
「ケチはひどいなー。じゃあ、ちょっとだけ」
「やった!」
「昔、まだ世界が混とんとしていた時、盤古という巨人がグーグー寝ていました」
「ふんふん」
「あるとき目を覚ましたら、目の前が混とんとしていて怖くなった」
「何も見えなかったのね」
「そこで横にあった斧で目の前の闇をエイって切り裂いた」
「ちょっと待った!世界ができる前に何で斧があるの?変じゃない」
「あのさ、これお話、ネ、お話し。理屈じゃないんだよ」
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年7月4日