ネット販売や技術の進歩、消費構造の変化なども消費支出に一定の影響を及ぼした。ネット消費の普及は「アマゾン効果」をもたらし、物価水準を押し下げ、消費支出拡大を打ち消した。ほかの電子製品への代替性が極めて高いスマートフォンの迅速な普及、シェア経済モデルの広がりなどの技術の進歩も、消費支出の総体規模を圧縮している。
ただ経済環境全体の改善の影響を受け、日本の消費支出は短期的には改善をする可能性が高い。第一に、実質的な家計収入と可処分所得はここ2年、プラス成長に転換し、企業も賃上げを継続している。日本の大企業はすでに連続5年にわたって2%を超える賃上げを行い、中小企業の賃上げ率も2%に迫っている。労働力不足と経営業績の好転は、賃上げに対する企業の積極的な態度を持続させることになる。第二に、日本国会でしばらく前に採択された働き方改革関連法案も、消費支出の増加を推進することになる。「残業制限」はサラリーマンの消費潜在力を高め、消費支出を拡大できるだけでなく、労働力不足を生み、さらなる雇用拡大も期待できる。「同一労働同一賃金」も正規社員と非正規社員の間の収入格差を大幅に縮小し、より多くの潜在的な消費需要を喚起し、経済成長にマクロレベルから原動力を与えるものとなる。
もちろん高齢者層の消費空間をいかに拡大できるかは依然として消費支出拡大の鍵となる。高齢者の健康向けの商品・サービスは増え続けており、電子デバイスもさらなるスマート化で高齢者がより使いやすいものとなり、消費支出の成長をいっそう推進する見通しだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年7月30日