日本の自民党は21日に総裁選挙管理委員会を開き、自民党総裁選を「9月7日告示、20日投開票」とする日程を確定した。
今月10日、日本自民党の石破茂前幹事長が自民党総裁選への出馬を表明した。自民党の総裁争いは6年ぶり。石破氏は岸田文雄政調会長と野田聖子総務大臣をリングから押し出し、現職の安倍晋三首相と「一騎打ち」になった。
自民党の総裁公選規程によると、今回の総裁選は国会議員票と地方票(各405票)の計810票で争われる。安倍氏であっても石破氏であっても、過半数を獲得すれば勝利だ。国会議員票の傾向、党内の派閥の支持を見ると、安倍氏はすでに7派閥のうち5派閥(細田、麻生、二階、岸田、石原)の支持を得ているため、3選を果たす可能性が高い。
その一方で石破氏が永田町(国会所在地)で獲得できる票は、本人が率いる石破派のほか、竹下派の支持を表明している一部の国会議員のみとなる。石破氏は2012年の総裁選で、多くの地方票を獲得し初戦を制したが、二戦目で敗退した。石破氏の今回の戦術は、現場に立ち地方に浸透することだ。
安倍政権は今年に入り、土地問題、腹心問題、日報問題、改ざん問題などのスキャンダルの衝撃を受けている。安倍氏本人も友人ばかりを起用し、事実を覆い隠していると批判を浴び、党内での支持率が低下を続けている。打倒安倍勢力が動きを活発にしている。ところが安倍政権が発足してから5年以上になり、内閣不支持率が支持率を上回るという危険な状況が度々生じていたが、そのたびに安倍氏によって火を消され、支持率が好転した。来年に参院選と地方選挙を控え、与野党の戦いが始まることから、総裁選には自民党のイメージの戦い、参院選の準備の戦いの意味が備わっている。一部の議員は危機意識と投機的な心理から、依然として静観を決め込んでいる。
静観ムードが生じているのは、今秋の選挙が「2019年問題」に直面しているからだ。重大な政治、外交、経済の難題が山積している。天皇が間もなく退位し平成が終了し、参院選と地方選挙が行われ、消費税率が10%に引き上げられ、日米貿易交渉が成果なく終わり、G20サミットの議長国になるなど、重大事が続く。これらの任務を控え、今回の総裁選の自民党における位置づけが密かに変わっている。票を握る者は、安倍氏と石破氏のどちらに万難を排し、害を避け利を手にする度胸と能力があるかを、冷ややかな目で観察している。これは派閥の力学以外の新たな要素であり、安倍氏がリードする中での新たな変化でもある。
当然ながら両氏は体力と財力の駆け引きの他に、政治の成績と戦略を比べなければならない。自民党御用達のブレーン、戦略エリートは国の「大国化」の動向、「強い軍事」「強い経済」の施策の重心をめぐり、政治的見解をほぼ一つにしている。改憲の幅、経済刺激の程度、外交政策の角度などに差を残すのみだ。安倍氏と比べると、石破氏は明らかにさらに右寄りだ。
今後1カ月の選挙戦で、安倍氏と石破氏は接近戦を展開することになる。ある日本メディアはこの状況を、自民党総裁選の歴史における「第二次角福戦争」(田中角栄、福田赳夫)としている。手に汗を握る選挙戦になり、意外な番狂わせが生じるかもしれない(筆者・陸忠偉 中国現代国際関係研究院元院長)。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018年8月23日