報道によると、タイのアーコム運輸大臣はこのほど「中国と日本の協力に期待する、これはタイにとって良いことだ」と表明した。これは中日がタイという第三国で協力を展開することが、議事日程に上がったことを意味する。それではタイはなぜこのタイミングで、中日の協力を提案したのだろうか。その成功は、中日が東南アジア高速鉄道プロジェクトをめぐり、互恵協力の新モデルを模索することを促すのだろうか。
タイは「ほほ笑みの国」と呼ばれ、大国関係の処理に長けている。武器調達、投資導入などの面で、タイは終始巧みなバランスを維持する外交の手腕を見せている。
今回のタイの提案は、まずバランスを取るためだ。中日の今回のタイにおける協力は、主にドンムアン国際空港、スワンナプーム国際空港、ウタパオ国際空港を結ぶ高速鉄道プロジェクトだ。中日は近年高速鉄道をめぐり、タイで激しい競争を展開している。日本が建設するバンコク〜チェンマイ高速鉄道、中国が建設するバンコク〜ナコーンラーチャシーマー高速鉄道は紆余曲折を経た。タイが中日協力という新プランを打ち出したのは、中日のタイにおける新たな利益バランスを整え、タイのより切実な利益を模索するためだ。
次に、タイはリスク分散を考えている。タイは現在「タイ4.0」戦略を実施しており、東部経済回廊がその旗艦プロジェクトとなっている。3大空港を結ぶ高速鉄道プロジェクトは、タイの東部経済回廊の重点プロジェクトだ。その投資総額は5兆円以上を見込んでおり、契約期間は50年。間違いなくビッグプロジェクトだ。しかしビッグプロジェクトには各種リスクがある。タイは中日企業の相互補完により、同プロジェクトのリスクを解消しようとしている。