近年、日本人が相次いでノーベル賞を受賞し、世界の注目を集めているものの、日本の各界はそれに甘んじることなく、常に危機感を抱いていることは非常に印象的だ。日本政府は毎年、日本の科学研究の実力や存在する問題をまとめ、世界の主要国と比較する「科学技術白書」を発表しているが、近年はその中で、「日本の科学技術の開発力が衰退の兆候を見せ始めている」と何度も指摘している。
2018年度の「科学技術白書」によると、世界の主な科学研究大国の中で、日本の研究者の論文発表数だけが減少し、04年の6万8000本をピークに、15年には6万2000本に減った。また、被引用度で世界トップ10%に入る質の高い論文数のランキングでも、日本は世界4位から9位に下落した。政府の科学技術関連予算も、18年の投入額3兆8401億円は2000年の1.15倍にとどまり、世界の主な科学研究大国の中で増加率が最も低い。
今年2月、雑誌「東洋経済」の特集記事「大学が壊れる」は、日本の大学が直面している危機を様々な角度から指摘し、「過去数十年間にわたり、日本の科学研究は質も量も、急激に落ちた」と指摘。また、ノーベル賞受賞者の益川敏英氏や梶田隆章氏も、「日本の科学研究は危機に直面している」と警鐘を鳴らしているという。梶田氏は、「論文の数は研究資金、時間と人員の数で決まる。日本がこの三要素を悪化させ続ければ、将来ノーベル賞を得るのは難しくなるだろう」との見方を示している。
日本にはもう一つ、若い科学者の育成やサポートが不足しているため、若者の科学研究離れが進んでいるという懸念もある。16年のノーベル生理学・医学賞の受賞者・大隅良典氏ら有識者は、「日本の社会は、若者たちが、目先のことを心配せずに、5年、10年後のことを安心して考え、安心して研究に打ち込める環境を作らねばならない」、「日本は若い研究者を育成する体制を作らなければ、日本の科学は空洞化する」と指摘している。18年度の「科学技術白書」は、「日本は科学研究への資金投入を強化し、若い研究者にもっと良い科学研究の環境を提供するべきだ」と指摘している。(編集KN)
「人民網日本語版」2018年10月9日